2020 Fiscal Year Research-status Report
「アフリカの角」地域の再編をめぐる国際関係の変容と政治体制変動
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19K01495
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 貢 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70251311)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アフリカの角 / 安全保障コンプレックス / トランス紅海地域安全保障複合体 / インド太平洋 / 政治変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、「アフリカの角」地域の政治変動過程について、大きな政治変動下にあるスーダン、エチオピアの国内情勢、不安定性が継続するソマリア情勢、ジブチをめぐるダイナミズム、そして、グランド・エチオピア・ルネッサンス・ダム(GERD)をめぐる新たな力学などを継続的に調査する作業を行った。特にこの地域の中核国として評価されてきたエチオピアにおける「内戦」ともいえる紛争の勃発は、国内の複雑な民族関係に加え、この地域の重層的な政治力学の中で生じてきた面を有しており、改めて「アフリカの角」という地域の特徴を示す事象という評価ができる。 こうした現象検討する上で、「アフリカの角」地域をとらえる視座として、複数の国家から構成される「地域」レベルの安全保障の関わる問題系を検討する理論的視座としての「安全保障コンプレックス」をトランス紅海地域安全保障複合体(TRS-RSC)と言う形で提示した。また、中東RSC、さらにインド太平洋にも接続していることから、米中の「新冷戦」ともいえる状況を組み入れる視点を加味し、より広域の相互関連性を考える理論枠組みの検討を行った。 こうした作業を通じ、「アフリカの角」として考えられている地域は、まさにグローバル、リージョナル、サブリージョナルといった重層的なダイナミズムの中での変容を加速化していることを確認した。また、こうした状況をより的確に考察する枠組みの構築が引きつづき重要な課題であると認識し、作業を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で、海外での調査活動は大幅に制限されている。しかし、様々なオンラインセミナーや、オンラインでの情報収集を通じて、「アフリカの角」地域で展開している動きやその評価などを資料として入手できる環境が整えられてきたことは、新たな研究手法にもつながる動きと考えている。関連するテーマでの研究会などにおいても、本研究で進めている成果の口頭報告やペーパーの執筆などの機会も得られたことから、「アフリカの角」地域を取り巻くきわめて重層的な動きについての知見などを深める機会も得られており、研究遂行としては、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの影響で最終年度となる今年度も、海外での調査の実施は困難と考えられるが、この間関係構築してきた国内外の研究機関等でのオンラインイベントへの参加などの機会を活用しながら、理論と実証に関わる情報などを継続的に入手する形で、研究の推進を図りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定されていた海外での調査の実施が困難となったことから、旅費予算のほとんどを執行できなかった。次年度も、コロナ禍が継続する中にあっては海外渡航は困難が予想されるため、日本国内での研究遂行に当たらざるを得ないが、引きつづき着実に研究を推進していく予定である。
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Research Products
(5 results)