2020 Fiscal Year Annual Research Report
フロントライン従業員が個人レベルの市場志向と事業成果に及ぼすメカニズムの解明
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19K01963
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岩下 仁 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (30608732)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 個人レベルの市場志向 / 半構造化インタビュー / 社会的学習理論 / 強化学習 / 代償学習 / アウトサイド・イン / 組織との同一化 / ネットワーク・サイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はまず、前年度に実施した一連の個人レベルの市場志向(Individual Market Orientation、以下、IMOと略)に関する先行研究のレビュー結果に基づき、研究課題の整理を行なった。すると、次の2つの課題が明らかにされた。第一に、Lam, Kraus, and Ahearne (2010) を始めとする先行研究では部門横断的データを前提としている為、Bandura (1977) の社会的学習を理論的基盤とする一方、統計的には因果関係が解明されていない点である。特にLam et al. (2010) では、米国『フォーチュン』誌のクリーニングと衛生用品を扱う企業のみを研究対象とする事から、今後の研究では、より多くの業種と企業を含めて、定量調査を実施し仮説モデルを検証する必要がある。 第二に、IMOに関しては、ほとんど周辺メカニズムが明らかにされていない点である。嚆矢となる研究であるLam et al. (2010) では、セールス・マネジャーのアウトサイド・インとIMO間の交互効果、セールス・マネジャーのアウトサイド・インとセールス・ディレクターのIMO間の交互効果という2つのみのモデレーター効果を検証している。その為、これら2つの以外のモデレーター変数を含めて、周辺メカニズムを明らかにするべきである。 以上の研究課題を踏まえて、概念モデルと仮説モデルを導出する為、組織でマネジメントの立場にいるビジネス・パーソンに半構造化インタビューを実施した。この立場のビジネス・パーソンを対象とした理由は、本研究の目的がIMOの普及プロセスの解明にある為、組織を俯瞰的にみられるポジションの人物に意見を伺う事が鍵となるからである。西日本の経営者数名にヒアリングを実施した定性調査の結果を基に概念モデル、仮説モデルを構築した。
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