2021 Fiscal Year Research-status Report
スーパーダイバーシティ状況におけるエスニック境界の再編:大阪市M地区の事例
Project/Area Number |
19K02075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高谷 幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40534433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 幸子 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (20770001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化 / スーパーダイバーシティ / エスニック境界 / 大阪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多様性がより増大する大阪市を対象に、質的調査を通じ、エスニック境界の再編の動態と境界の機能を明らかにすることである。歴史的に在日コリアンが集住してきた大阪は、多様性に富む都市として発展してきたが、近年は大阪に暮らす移民のバックグランドがさらに多様化している。 プロジェクト三年目の2021年度は、コロナ感染拡大の影響で、調査を十全な形で進めることはできなかったが、在日コリアン集住地域であるI地区において、地域の多文化共生にかかわる実践への参与観察や実践者、エスニック起業家へのインタビューを行った。 I地区は、近年は在日コリアン以外の移民も増加し、エスニック・レストランをはじめとした移民による起業が目立つと同時に、地域再生と結びつく形で、移民を対象にした区や市民による多文化共生の実践が展開されている。 起業の中では、在日コリアンの起業家が新しく来た移民の起業家にノウハウをアドバイスをしたり、また多文化共生の実践では、日本人と在日コリアン、新しく来た移民が協働してまちづくりをしようとする動きも見られるようになっている。つまりこうした実践で構築されるエスニック・バウンダリーは、国籍やエスニシティ以上に居住歴、言葉、日本社会についての背景意識などにも基づいているようにも思われる。 同時に、I地区の中でもエスニシティを超えた結びつきには違いが見られ、その違いを明確にするのが今後の課題となる。 研究成果としては、帰属をめぐる理論枠組みの検討や調査に基づく論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染拡大の影響で、調査を十分に進められなかった。一方で、関連する先行研究のレビューや論文執筆を通し て研究成果の発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍は続いているが、調査を進める目処がついたため昨年度後半より再開した。今後調査を継続するとともに、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、年度途中まで調査に行くことができず、また申し込んだ国際学会も中止になったため旅費が余った。すでに調査は再開しているため、次年度に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)