2022 Fiscal Year Research-status Report
スーパーダイバーシティ状況におけるエスニック境界の再編:大阪市M地区の事例
Project/Area Number |
19K02075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高谷 幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40534433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 幸子 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (20770001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多文化 / スーパーダイバーシティ / エスニック境界 / 大阪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多様性がより増大する大阪市を対象に、質的調査を通じ、エスニック境界の再編の動態と境界の機能を明らかにすることである。歴史的に在 日コリアンが集住してきた大阪は、多様性に富む都市として発展してきたが、近年は大阪に暮らす移民のバックグランドがさらに多様化している。 プロジェクト4年目の2022年度は、在日コリアン集住地域であり、かつ近年多様な移民が増加しているI地区を中心にフィールドワークを実施し、エスニック起業家や地域住民、日本語学校関係者等へインタビューを行った。 I地区は、近年は在日コリアン以外の移民も増加し、エスニック・レストランをはじめとした移民による起業が目立つ。 起業の中では、在日コリアンの起業家が新しく来た移民の起業家にノウハウをアドバイスをしたり、エスニシティを超えた関係性が形成されている例がある一方で、急激な住民構成の変化に不安の声も聞かれた。 くわえて日本語学校関係者からも、エスニシティ構成の変化についての認識や対応について話を伺った。これらの調査結果を踏まえ、現段階では、I地区で構築されているエスニック・バウンダリーは、国籍やエスニ シティ以上に居住歴、言葉、日本社会についての背景意識などにもとづいていると考えている。 研究成果としては、帰属をめぐる理論枠組みの検討を行うとともに、論文の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
22年度は調査を再開することができたが、20-21年度にコロナ禍の中で調査が遅れた分を挽回することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で調査が遅れたため、研究計画を一年延期し、23年度完了を目指している。
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Causes of Carryover |
2020年度から2021年度にかけて、コロナ下でフィールドワークを十分できなかったため。 2022年度より徐々にフィールドワークを再開し、その後は順調に進めている。当初の計画より1年延長し、2023年度までに調査を終える予定である。同時に、2023年度には学会報告を行い、論文執筆に着手する予定である。
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