2019 Fiscal Year Research-status Report
Disaster Sociology research where the dead co-exist in <now, here>
Project/Area Number |
19K02083
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
金菱 清 東北学院大学, 教養学部, 教授 (90405895)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 震災と行方不明 / あわい / 曖昧な喪失 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災における行方不明を主たるテーマにフィールドワークを行い、東北学院大学震災の記録プロジェクト・金菱清(ゼミナール)編『震災と行方不明-曖昧な喪失と受容の物語』(新曜社)としてまとめ刊行した。
まえがき 第1章 踊りの中で生き続けるもの―行方不明者と故郷と想起 第2章 なぜ津波と原発災害後も、故郷の記憶は風化しないのか―漁師文化と海への礼儀作法 第3章 ある行方不明家族の〝もやいなおし〟―旅をする父、娘を身近に見守る父母 第4章 家族の思い出と記憶のコールドスリープ法―夫の明るい姿を想起させる心の回復法とコミュニティの順応力 第5章 震災の記憶と感情の行方不明―失われた記憶と家族関係 第6章 ある宗教者を変えた肉親の死―曖昧な喪失の当事者になるとき 第7章 死を追認しない供養のあり方―本音と向き合う遺族の葛藤とレジリエンスの獲得 第8章 「区切り」から読み解く行方不明者遺族の歩み―妻の遺骨が見つかるまでの節目と再生 第9章 原発災害後の〝宙づり〟状態を脱して―農地への働きかけを継続する仮定的な予見 第10章 牛飼いとして曖昧に生きる意味―原発避難区域に戻った元酪農家の変化 第11章 生活再建のなかの慰霊碑建立―遺族の心情をつなぐ震災犠牲者の鎮魂 第12章 行方不明の土地をつなぎとめる「偽」アート―荒浜「偽バス停」の仕掛けとオモイデバスツアーの成功 特別寄稿 儀礼文化の伝承は最も確実な災害の記憶装置なのだろうか
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災における行方不明を主たるテーマにフィールドワークを行い、東北学院大学震災の記録プロジェクト・金菱清(ゼミナール)編『震災と行方不明-曖昧な喪失と受容の物語』(新曜社)としてまとめ刊行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
以下3点の「生死のあわい」の解明を行う。 ①幽霊現象の意味解釈:被災地における幽霊現象の比較文化論を行う。宮城・岩手を中心に歴史史料・民俗資料等をたどり、地域別・文化別・災害別・時代別に、生死の中間領域であるあわいが発生する意味解釈と理論展開を行う。本研究では、幽霊現象は、死者を彼岸に送って存在を抹消させることなく、時間的猶予を置いて死を受け入れる隙間を被災地の時空間に与えているとの仮説に立つ。一部は『呼び覚まされる霊性の震災学』(金菱編 2016)上梓。 ②夢の中での亡き人との邂逅:宮城沿岸部を中心に、震災遺族を対象に聞き取り調査を行い、どのように身近な死を受け止め、そこからどのようなメッセージを受けているのかを、夢の中での亡き人との邂逅から明らかにする。現在までに収集した事例は、予知夢や触覚的感知、共有夢など。本研究の継続調査によって「生きられる死者」のさらなる展開が予想される。 ③行方不明・故郷喪失・動物の殺処分における死の受け止め方:宮城沿岸部や福島を中心に、自己表出の困難が予想される行方不明者や災害関連死の近親者へのインタビューを試みる。肉体の消滅を経ずに、人はどの時点で、あるいはどのような過程を経て近親者の死を受け入れていくのか、あるいは受け入れることはないのか。原発避難に伴う故郷喪失や家族離散、近親者の関連死、家畜との死別を、避難者や遺族はどのように受け入れていくのか。本研究 では、死の定点のズレや死の曖昧さの処理など、死の受容のあり方を体系的に明らかにする。
|
Research Products
(6 results)