2021 Fiscal Year Research-status Report
Disaster Sociology research where the dead co-exist in <now, here>
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19K02083
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
金菱 清 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90405895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害 / 死者 / 記録 / 手紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
理不尽な別れを経験したあの日から10年余りの歳月が経ち、遺族やいまだ身内の行方が分からない行方不明者家族は、風景が一変した被災地で何を思うのか。本研究では東日本大震災発生から10年に先立ち地元の河北新報社と大規模なアンケートと聞き取りを被災当事者から行った。 巨大地震と大津波、東京電力福島第一原発事故の影響で、岩手、宮城、福島三県を中心に全国で1万5900人が帰らぬ人となり、2524人の行方が分からない。震災をきっかけに体調を崩すなどして亡くなった震災関連死は3776人(いずれも2021年11月時点)に上る。 このアンケートとインタービュー結果は、金菱清・河北新報社編集局編『逢える日まで-3.11遺族・行方不明家族10年の思い』新曜社として2022年2月5日に発刊することができた。 遺族、不明者家族156人を対象としたアンケート結果である。「走り回る孫たちが残像のように現れる」「骨の一部、1センチでもいい。お墓に入れてあげたい」。10年という歳月を経た今も口をつく悲痛な言葉の数々に、復興とは別の時間軸を生き、今なお心の整理が付かない遺族の心情があることがわかった。 さらに、10年経過のなかで、ある程度落ち着いた・完全に落ち着いたも入れると5割のご家族の変化として捉えることができる。ただし、行方不明家族とそれ以外で分けるとなると、回答に大きな違いがでた。行方不明家族は、そうでない家族に較べると、全く落ち着いていない・あまり落ち着いていないを合わせた数が、約2倍以上にのぼり(ご遺体が見つかった家族13.2%・行方不明家族28%)、ご遺体発見の有無によって、その後の落ち着かせ方に開きが見られることが結果みえてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍が引き続きアップダウンを繰り返す中でフィールドワークをするにあたってアポイントメント等取りにくい状況が生じ、当初予定した研究計画通りとはいっていない側面がある。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災に引き続き関わる一方で、阪神淡路大震災発生から四半世紀が経つ中で、どのように現場に人々が震災を捉えようとしているのかについて比較検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の状況が予測できないなか、感染拡大時期も重なり、他県間の往復出張などが避けられた結果、旅費に次年度使用額が生じた。今後も自然状況下でもコロナの状況によって思うように研究計画が進まない可能性も十二分に考えられるが、可能であれば、現地で聞き取り調査や現地調査を行う計画である。
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Research Products
(4 results)