障害者差別をめぐる社会運動組織間ネットワーク研究

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K02091
• Research Institution: The University of Tokushima
• Principal Investigator: 渡辺 克典 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (60509181)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 組織間ネットワーク / 当事者運動 / 障害者差別

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、障害者差別の歴史的形成や病・障害当事者組織について、外国人差別・部落差別に取り組む組織研究との架橋を目指しておこなわれる。社会運動組織のネットワーク形成に関しては、日本では環境運動研究などで理論的・実証的に取り組まれているが、差別や虐待をめぐる多様な組織間ネットワーク形成に関する社会過程や政策参画につらなる政治過程の研究は取り組まれていない。
3年目となる2021年度も前年度と同様に当初予定していた調査研究がおこなうことができなかった。そのため、2020年度以降関連する文献や資料等の所蔵体制の再構築をすすめている。第1に、障害者差別・外国人差別・部落差別に関する理論的な基礎研究として差別の交差性（intersectionality）や不平等（inequality）への社会学的のアプローチ、Mark Sharryらによる_Disability Hate Speech_といった海外のヘイト研究について文献研究をおこなった。第2に、社会運動組織によるイベントデータについて既存の資料（おもに新聞・雑誌データや活動報告書）の電子データ化をすすめた。第3に、データ分析にむけたソフトウェア（Computer Assisted Qualitative Data Analysis Software）を導入し、データのインポートとコーディング作業を継続的におこなっている。
文献研究やデータ入力作業が中心となったため学会報告や論文公刊はおこなえなかったが、2022年度以降の調査研究と組み合わせることで今後の研究実績に結び付けていく。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

COVID-19により予定していた夏季の調査が不可能となり、また授業期間以外の研究機関での業務（新型コロナウィルス対応のための追加業務等）の増加もあり当初の予定よりも遅れが生じている。

Strategy for Future Research Activity

引き続き文献研究・資料収集を進めていきながら、遅れている調査研究を強く推進する。

Causes of Carryover

COVID-19により予定していた調査旅費執行が不可能となり、また作業補助者への謝金も人員確保が困難な状況が続いており、2020年度に引き続き次年度使用額が生じた。2022年度はこれまで2年にわたり延期している調査旅費の執行を進める予定である（ただし、新型コロナウィルスの状況が長引くようであれば文献研究・資料収集を継続する）。