2021 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Movement Action Theory Using Web GIS and Big Data
Project/Area Number |
19K02093
|
Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
濱西 栄司 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (30609607)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 社会運動 / 運動行為 / 集合行動 / ビッグデータ / WebGIS / 集合行為 / 政治行動 / モバイル空間統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実施計画は、(1)事例記述、(2)因果的説明、(3)民主社会の基盤についての考察、から成り立っている。 社会運動の展開を社会運動組織の戦略から説明する主流の運動研究アプローチに対して、運動行為そのものに目を向ける立場から、前年度に入手したスマートフォンのビッグデータ70万件の一部を用いて、はじめて2015年の反安保法制の大規模抗議集会(7月15日と8月30日)を包括的に記述し分析した(濱西 2021, 2022)。ビッグデータ(モバイル空間統計)の仕様と対象エリア(国会前、国会西側、官邸、霞が関)、差分日の設定(平日・休日の区別など)、抗議集会の3つの特徴(全体の変化、増減速度・幅、性別・世代別の変化)を整理した。2つの大規模抗議集会の概要を示したうえで、ビッグデータを用いて、両集会の全体、および性別・年代別の変化を1時間ごとに描き出し、最大値とピーク、性別・年代別の増減について考察した。2つの抗議集会の特徴――男性中心・世代均衡(7月15日)と性別均衡・高齢者中心(8月30日)――を把握したうえで、抗議集会のありよう(集会の位置と日時、集結・解散プロセス)に作用しうる空間的・時間的要因について考察した。抗議集会それ自体を捉える視座、抗議集会をビッグデータで捉える具体的方法の提示と実施、抗議者の時系列変化とのべ人数での特徴把握、空間的要因と時間的要因が抗議集会におよぼす作用への着目は先行研究がほとんど取り組んでこなかったことであり、成果といえる。特にビッグデータを用いた抗議集会記述法の提示は、多様な事例に研究を拡大していくうえで重要であり、また空間的・時間的要因に関する考察は、社会運動の組織戦略に回収されないような運動の側面(抗議者の集結・解散のタイミングやプロセス)を示唆するものであり、運動行為をめぐる因果関係の研究にも寄与しうる。
|
Research Products
(2 results)