2021 Fiscal Year Annual Research Report
子と離別した父親の生活実態と扶養意識に関する実証的研究
Project/Area Number |
19K02135
|
Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
下夷 美幸 放送大学, 教養学部, 教授 (50277894)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 離婚 / 父親 / 扶養 |
Outline of Annual Research Achievements |
離婚後も両親は子を扶養する義務を負うが、子どもと離別した父親の多くが養育費を支払っていない現実がある。「養育費の確保」は、政府の「子どもの貧困対策」にも位置づけられ、取り組みが進められているものの、現在の施策は実効性に乏しい。諸外国では行政による養育費の確保制度が実施されており、日本でも同種の制度導入が求められているが、それにはまず、支払い側である父親の生活実態や扶養意識に関する実証的な研究が不可欠である。しかし、これまで先行研究では父親側の詳細な実情が把握されていない。そこで本研究では、離婚後、子と離別した父親の生活実態と扶養意識の詳細を把握し、その実像を明らかにすることを目的としている。 この目的に即して、最終年度である本年度は父親の生活実態と扶養意識の実情をより幅広く把握するため、昨年度の分析対象ケースにさらにケースを追加し、離別した子がいる離婚男性に対する聴き取り調査のデータを分析した。分析したデータは、調査会社が個人情報保護法等の関係法令遵守のもと、登録モニターに対して、相手の同意を得て行った聴き取り調査によるものである。対象者は「20代から60代、居住地は首都圏、離婚経験が1回で、離婚時に妻との間に未成年子がおり、離婚後の子の親権者は母親」という条件を満たした男性20名である。20名中、現在配偶者がいる男性(再婚)は8名、同棲パートナーがいる男性は3名である。 得られたデータをもとに、「離婚の経緯(主に、離婚後の子の生活に関する協議の実態)」「離別した子との関係(主に、養育費の支払状況、面会交流の実施状況)」「離別した子に対する扶養意識」「現在の生活状況(主に、再婚による新たな家族関係、暮らし向き)」について分析を行い、その多様な実態を明らかにすることができた。
|