2019 Fiscal Year Research-status Report
地域社会におけるケイパビリティに基づく福祉行財政の基礎理論――自治と自立の検討
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19K02156
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村上 慎司 金沢大学, 経済学経営学系, 講師 (80584359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角崎 洋平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10706675)
中倉 智徳 千葉商科大学, 人間社会学部, 講師 (30586649)
堅田 香緒里 法政大学, 社会学部, 准教授 (40523999)
箱田 徹 天理大学, 人間学部, 准教授 (40570156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケイパビリティ / 地域社会 / 福祉行財政 / 自治 / 自立 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績について、2019年7月の研究会では、5年間の研究計画全体を検討し、かつ、2019年度の予備的調査計画を議論した。とりわけ、調査研究を通じて理論的含意を検討する方針と今後の海外調査の候補地について検討した。これを受けて、本格的な事例調査研究の準備的作業に資するヒアリング・フィールドワークを2020年9月には関西地区、そして、2020年11月には北陸地区で実施した。9月の関西地区の予備的調査では、中心的な役割を果たしている担当者から説明を受けつつ、実際に当地でのフィールドワークを行った後に、生活困窮者自立支援制度や地域福祉の観点からを中心に当該地域での福祉実践に関する取り組みの概要についてヒアリングをした。2019年11月の北陸地区での研究会では、統治性概念に関する文献を検討し、併せて複合福祉施設のヒアリング・フィールドワークを遂行し、同施設のスタッフと利用者に対して予備的インタビューができた。以上のような事例調査研究と並行して理論研究も遂行し、その主な成果の業績の一つとして、村上慎司(2020)「社会的な居場所づくりと福祉政策――理論的枠組み構築のための試論」『医療福祉政策』3巻1号pp. 1-13 がある。同論文では、ロールアウト型ネオリベラリズムとリベラル・コミュニタリアニズムという理論的対立軸から近年の福祉実践として注目されている社会的な居場所づくりを検討し、本研究課題における理論的な貢献をした。その他の研究分担者の業績は別紙に記載したが、ここでは研究協力者である橋口昌治(2020)「第2章 仕事をして暮らす――労働と社会保障」杉田真衣・谷口由希子編『大人になる・社会をつくる――若者の貧困と学校・労働・家族』明石書店を挙げておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事例調査研究のために2箇所とコンタクトをとり、予備的なヒアリング・フィールドワークを実施することができ、今後の本格的な事例調査に向けての準備を整えることができた。また、研究会や論文執筆を通じて統治性やネオリベラリズムに関する理論研究の端緒を開いた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染対策のため、2020年度の調査研究を遂行することは非常に難しいので、オンラインでの研究会を数回開催し、関連文献を検討して理論研究を中心に推進していく。具体的には、統治性概念、ネオリベラリズム、自立概念に関する文献を精査する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年2・3月に研究会を予定したが、新型コロナウイルス等の影響で実施できなかった。2020年度は文献の検討を中心とするため書籍代に計上して研究費を使用する計画である。
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