2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K02230
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
笠原 幸子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (50342192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 意思決定支援 / 成年後見制度 / 意思決定支援ツール / 成年後見活動 / 被後見人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、1.「自己決定支援研究会」の開催:2021年6月~2022年3月まで合計6回開催した。2.同研究会では、2020年度に実施した質的データの分析、遅延している研究活動の立て直しについて協議した。3.研究会参加者の中で承諾を得た方に対して、コロナ渦での成年後見活動時における意思決定支援についてインタビュー調査を実施した。4.追加された質的データと2020年度収集したデータを総合的に分析した。その結果、被後見人に対する意思決定支援の実践には、「被後見人に対する前提条件」「チームアプローチに関する前提条件」「被後見人の意思の形成支援」「被後見人の意思の表明支援」「被後見人の意思の実現支援」という5つのカテゴリーを抽出した。5.質的データの分析結果に基づき、本人の意思決定支援や身上保護等の福祉的な観点も重視した双方向の意思決定支援ツールの作成を前提とした量的調査のための調査票(質問項目の作成)について協議した。6.量的調査の対象者の選定と実施にむけて、専門職団体(社会福祉士会、弁護士会、司法書士会)等への依頼について協議した。7.厚生労働省から2020年に発表された「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン 」をもとに調査票(質問項目の作成)を再検討した。 論文執筆及び学会発表は十分ではなかった。2022年度は質的データの分析結果について、社会福祉学会での口頭発表と学術誌への論文投稿をする。 2021年度の研究によって、判断能力が十分でない被後見人に対する意思決定支援は、自律と支援の連続性の中に存在する。そして、両者は排他的な関係にあるのではなく、支援過程において本人の選好の確認や決定過程への本人の参加が重要となる。被後見人の意思決定を支援する研究は、ヒューマンサービスを担う専門職に示唆を与え、最終的には、被後見人のQOLを高めることに連動する意義のある研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響がまだ続いている。しかし、マイナス面だけではなく、プラス面をみると、リアルにこだわる必要がなくなったことを確認した。2021年度はリアルとバーチャルのハイブリット型で研究会を実施した。また、質的データの分析結果にもとづき、学会発表、学術誌へ投稿することができなかったため2022年度は早期に研究成果の発表をしたい。量的調査の進捗については、調査票案は完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.継続して「自己決定支援研究会」を開催(2ヶ月に1回)する。より多くの参加者が見込めるため、研究会はハイブリット型で実施する。 2.4月~5月は、質的研究によって得られた結果に基づき、量的調査の調査項目案を作成する。5月には、成年後見活動の専門家から作成された調査票案についてエキスパートレビューを受ける.同時に、弁護士、司法書士、社会福祉士等の調査対象者の依頼について検討し、各専門職団体に調査協力を依頼するとともに、成年後見活動をしている研究協力者を対象に予備調査を実施する。 3.四天王寺大学研究倫理審査委員会へ、量的調査の研究実施計画倫理審査申請書を提出し、承認を得る. 4. 調査協力の承諾を得た職能団体を通して、郵送法による横断的量的調査を実施し、データ入力、単純集計表の作成をする。 6.質的データ及び量的データの分析結果にもとづき、研究会にて議論するとともに、学会発表、学術誌へ投稿する。 7. 研究会にて「意思決定支援ツール」案を検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ感染症拡大の影響があったため、計画通りに研究が進まなかった。2022年度においては、これまでの研究計画の遅れをできるだけ取り戻せるように、速やかに、四天王寺大学研究倫理審査委員会へ、量的調査の研究実施計画倫理審査申請書を提出し、量的調査を実施し、今年度中には、 研究会にて「意思決定支援ツール」案を検討したいと考えている。また、学会発表や論文投稿も積極的に実施する予定である。
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