2021 Fiscal Year Research-status Report
認知症家族・離婚家族のもつあいまいな喪失における家族支援プログラムの開発
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19K02288
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
黒川 雅代子 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (30321045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 聡 大正大学, 心理社会学部, 教授 (40327987)
瀬藤 乃理子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70273795)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 離婚 / あいまいな喪失 / レジリエンス / 面会交流 / 親の離婚 / 喪失 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症の家族のあいまいな喪失支援について、2020年度の認知症家族の支援者インタビューと2021年度の家族の語りから考察した。支援者は愛着関係にある人が認知症になったことを家族が理解するためには、小さな喪失をひとつひとつ認識していくことが必要であると述べていた。それが愛着関係にある人が認知症になったことを家族が認めていくプロセスとなる。支援者は、家族が愛着関係にある人が認知症になったことを認めることの困難さを述べていた。コロナ禍によって、同居家族以外の人と容易に会いにくくなっている状況の中、家族は、愛着関係にある人の小さな喪失に気づきにくい。ここで考える小さな喪失とは小さなあいまいな喪失のことである。あいまいな喪失は喪失そのものが不確実なため、認知症の初期症状で起こるような小さなあいまいな喪失であれば、より喪失と認識することが容易ではない。それらのことを2022年度はさらに考察を深め、家族支援につなげていきたい。 2021年度は,日本心理臨床学会第40回大会で「親の離婚による「あいまいな喪失」と面会交流-母子家庭で育った18歳~29歳の未婚男女へのネット調査から-」の発表を行った。調査の結果,離婚後の面会交流の有無と離婚時に父母が行った面会交流に関する説明とのあいだに有意な連関が認められた。また,面会交流の有無と父母葛藤の程度で4群に分類し,BGQ(簡易版悲嘆尺度)の得点を比較したところ,「面会交流あり・父母高葛藤」群にあいまいな喪失が懸念されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
認知症家族の会のインタビューや支援者の事例検討会を予定していた。しかし、2021年度の多くが緊急事態宣言が発令され、高齢者施設のクラスター等も大きな問題となった。そのため、計画的にインタビューや事例検討会を実施することが難しかった。可能な範囲での家族の語りと認知症家族の支援者インタビューについての考察を今年度は行った。 調査結果の知見を踏まえて,離婚家族のあいまいな喪失に対する家族支援プログラムの内容を組み立て,プログラム試行グループの実施を予定していた。プログラムは,父母に面会交流の説明の仕方を考えてもらう体験型エクササイズや,「面会交流あり・父母高葛藤」群の子どもにあいまいな喪失が懸念されること/子どもがあいまいな喪失に向き合うために父母にできることなどを心理教育する内容によって構成された。しかし,2021年度はコロナ禍により対面で行うプログラム試行グループを実施することが困難であったため,当初の研究計画を遂行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度もコロナ禍が継続するため、オンラインを活用した調査や事例検討会の実施を検討し、蓄積したデータを含めて、研究のゴールを目指す。 2022年度に入ってもプログラム試行グループの実施が難しい状況に変化が訪れないため,研究計画を変更し,離婚家族のあいまいな喪失に対する家族支援プログラムの内容をより充実させることを目的として,追加のネット調査を行う予定である。その調査では,子どもと別居している父母の側に焦点を当て,父母のセルフケアとして離婚後のあいまいな喪失に向き合う方法を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において調査出張が困難であったため、使用額が変わった。コロナ禍は継続するが、オンライン等を活用し、調査研究を実施し、研究のゴールを目指す。 【現在までの進捗状況】や【今後の研究の推進方策】で書いた通り,2021年度は,参加者を募って離婚家族のあいまいな喪失に対する家族支援プログラムの試行グループを実施することを計画していたが,コロナ禍により対面で行うプログラム試行グループを実施することが困難であったため,当初の研究計画を遂行できなかった。そこで研究計画を変更し,2022年度はプログラムの内容をより充実させるために,離婚家族のあいまいな喪失に関する追加のネット調査を行う予定である。
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Research Products
(8 results)