2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K02318
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳井 章江 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20284854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 晃 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40192108)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞保護作用 / 食欲不振 / 胃 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系において、神経変性疾患のターゲットとなる線条体や大脳皮質、脊髄運動ニューロンといった代表的な領域にSTB(stigmoid body)/HAP1(Huntingtin associated protein 1)がほとんど分布していないことから、神経変性に対する脆弱性の閾値を高めているのではないかと考え、STB/HAP1が持つ細胞保護作用に着目している。本研究課題によりラット胃粘膜細胞におけるHAP1の発現およびSTBの電子顕微鏡による超微形態学的解析を論文報告(Acta Histochemica 2020)した後、さらに解析を進めたところ、胃粘膜細胞以外にもHAP1の分布があることを見いだした。マウス消化管の縦走筋層と輪走筋層との間に位置する筋層間神経叢においてもHAP1免疫陽性細胞が存在することが明らかとなった。HAP1免疫陽性神経細胞の多くは、細胞質にSTBを形成しており、中枢神経系以外では胃粘膜細胞に加え、筋層間神経叢においてもSTBが確認された。壁内神経叢におけるHAP1の分布を明らかにするために、神経系マーカーを用いた免疫組織化学法およびウェスタンブロッティング法により、筋層間神経叢におけるHAP1免疫陽性細胞の形態的関係を明らかにした。筋層間神経叢は、平滑筋の運動を支配して消化管の蠕動運動を制御することや粘膜に分泌刺激を及ぼすことが知られていることから、HAP1が胃の蠕動運動の制御や胃粘膜への分泌にも関与することで食欲不振に関わる可能性が示唆された。今後は、粘膜下神経叢において、各種神経化学マーカーを用い、どの神経細胞にHAP1が発現しているかを同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成獣マウスにおける消化管におけるHAP1発現を明らかにする目的で解析を継続し、胃粘膜細胞以外の筋層間神経叢においてもHAP1が豊富に局在していることを見いだした。筋層間神経叢におけるHAP1の局在を明らかにした最初の論文として発表した(Cell Tissue Res. 2021 Dec;386(3):533-558.)。以上より、当初の計画通りの研究課題を明らかにしたことから、おおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
胃における壁内神経叢のうち、筋層間神経叢におけるHAP1の分布を明らかにした一方で、粘膜下神経叢における分布が不明であるため、今後明らかにしていく。粘膜下神経叢は、筋層間神経叢に比べ細胞集団が小規模で、特に胃における解析は、難しいことが予想される。粘膜下神経叢に発現する各種神経化学マーカーを用いて、どの神経細胞にHAP1が発現しているかを同定する。腸管神経叢は、消化管全体を通して分布していることから、胃以外の消化管についても検討する。また、ヒトの胃におけるHAP1発現についても検討をしていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題の成果発表を行うため、学会参加のための旅費(海外を含む)を予定していたが、感染対策のためWEBでの発表となった。旅費を使用せずに済んだことに加え、試薬などの物品費や論文投稿費用などが節約できたことで、次年度使用額が生じた。今年度の研究成果により、胃におけるHAP1の新たな局在が明らかになったため、今後、追及していく予定の粘膜下神経叢マーカー抗体(数種類)を購入する計画を立てている。
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Research Products
(18 results)