2020 Fiscal Year Research-status Report
学校現場におけるネットワーク型OJTに関する実証的研究
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19K02424
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
笹田 茂樹 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (00553132)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | OJT / 同僚性 / 協働 / 双方向の学び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,従来の上意下達的な従来型OJTが様々な限界を抱えていることから,同僚性を基盤とした新たなOJTの方法を模索するものである。 2020年度は,2019年度に行った富山市のA小学校における聞き取り調査をまとめるとともに,引き続きA小学校での参与観察を継続した。 その結果,同校での「部会研修」において,ベテランから若手,若手からベテランの「双方向の学び」がさらに顕著に見られ,そのことが同校で進められている働き方改革にも寄与していることが判明した。 かつては「部会研修」においてベテランが若手を叱責したり,若手が準備した資料を否定したりすることも多く,かなりの時間をかけて若手の「気づき」を待つような研修が行われていたが,働き方改革によって時間的な制約が多くなり,また教員の気質も変化してきたことから,従来とは違った協調的な雰囲気で協議が行われ,ベテランと若手が率直にお互い意見を出し合うような流れができつつあり,そうした雰囲気の中で,ベテランが自分の考えに固執せず,若手から学びを獲得するような機会も増えていることが分かった。 こうした聞き取り調査や参与観察で得た成果に関して,日本教育行政学会で学会発表を行った。 また,文献調査を行って,ピーター・M・センゲや,ジャルヴァース・R・ブッシュ、中原淳らの知見から,組織開発における成員間のコミュニケーションの重要性について理解を進め,「双方向の学び」をもたらすネットワーク型OJTの理論を補強することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は2年目ということで,2019年度に収集したA小学校での参与観察記録などをまとめるとともに,引き続きデータの収集に努めた。 それらのデータから明らかになったことに関して,2020年10月の日本教育行政学会において,「富山市立A小学校の校内研修会におけるOJT -働き方改革下での研修形態の変化に着目して-」というテーマで学会発表を行った。 また,文献調査を行って理論研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,引き続きA小学校での参与観察等を行ってデータの収集に努めるとともに,2019年度と2020年度の研究成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
わずかな額(52円)を次年度へ回すこととなった。
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