2020 Fiscal Year Research-status Report
An Empiricai Sutudy on Parental Empowerment Process in Nursery Community
Project/Area Number |
19K02443
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸山 美貴子 北海道大学, 教育学研究院, 助手 (30360879)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 保育園 / 幼児 / 発達 / 子育て / 親 / エンパワーメント / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、北海道中央部のある保育園を対象に以下の研究を行った。 具体的には、(1)年間の保育方針、年間計画、保育課程の修正などにかんする聞き取り調査、(2)年長児の保育状況と子どもの発達課題、親集団のあり方への評価にかんする保育士への聞き取り調査、(3)年間の主要な行事活動、運動会とちょうちん祭りの参与観察、(4)年長児クラスの親集団リーダー、サブリーダーから、親集団のこれまでの変化、現時点での評価、課題等の追跡的な聞き取り調査、(5)親集団がとりくんだ行事への評価とその後の集団変化にかんする聞き取り調査である。 (1)においては、園長に対して年度の比較的早い段階と、年度末において、当該年度の保育方針や保育課程、保育士配置に関する修正意図、次年度に向けた考えなどについて半構造化面接を行った。(2)においては、年長児クラス担任保育士に対して、個々の子どもの発達課題、子ども集団の評価、親の関わりへの評価、親集団への評価について、節目ごとに聞き取りを行った。(3)においては、年長児の具体的課題があらわになる主要行事であり、かつ親自身のとりくみも行われる運動会とちょうちん祭りに関わって、参与観察を行った。(4)、(5)においては、親どうしの対立が起こった局面とその理由、解決プロセスについて聞き取りを行った。子ども集団の中でのでき事や行事が発端となり、自身の子どもへのとらえ方と育児観の異なりが表面化すること、父親と母親の育児観の異なりも要因であること、子どもへの働きかけ方針を親集団でどれだけ共有できるか、インフォーマルなコミュニケーションと保育士の関わりが主要な要因であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、令和1年度にある程度定めた研究視点を用い、また、新規の発見も採り入れながら調査研究を行うことができた。 しかし、当初の予定では、(1)節目ごとに行われる保育士の保育総括会議への参与観察、(2)毎月実施される保育士と親との懇談会、(3)親どうしのインフォーマルな集まりへの参与観察、(4)子どもの発達課題と親の関わりの関連があらわれやすい課題にとりくむ時期の保育園での参与観察を行う予定であったが、コロナ感染が拡大する状況下、保育園への出入りが制限されたため保育園内での調査が不可能であった。 全体として、直接対象に関わることが出来なかったたえ研究者自身の評価が行えず、聞き取りからの二次的検証となっていることが原因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
大きな変更点として、前年度の調査を受けて、年長児クラスの親集団の形成の調査のためには長期的観点が必要なことがわかったため、年中児クラスを対象に調査研究を行っていくこととする。 今後の推進方策として、重点をおくのは以下の点である。 (1)年中児は子ども集団が形成されつつある時期であるため、子どもの自己形成と集団づくりがどのように行われていくのか、また、親の自身の子どもや子ども集団へのとらえ方をどのように育んでいくのか、担任保育士や保育総括会議における議論から明らかにすること。(2)運動会等の行事における子ども個人、及び集団的な発達課題を明らかにするために、保育園における一定期間の参与観察を行うこと、(3)保育士と親の懇談会やインフォーマルな集まりに参加し、その前後の変化を親リーダーから聞き取り、対立要因、及び解決プロセスについて明らかにすること。(4)親がとりくむ行事における親集団の変容過程を明らかにするための観察指標を精緻化することである。このうち、特に(1)と(2)は、研究協力園自身の実践的課題とも重なるので、いっそうの研究連携をはかり、本研究課題を推進していく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会がオンライン参加に変更となり、研究発表のための旅費として予定していたものが不要となったため。 また、研究対象の親、及び保育士への調査は信頼関係が必要であるため、研究代表者が直接出向く必要があり、予定よりも研究補助の人件費が少なくすんだだめ。
|
Research Products
(3 results)