2019 Fiscal Year Research-status Report
残食の肥料化から作物栽培までを1学年で完結させる物質循環学習教材の開発
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19K02764
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浅野 陽樹 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (30437941)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンポスト / 攪拌 / 腐熟度 |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめにいくつかのコンポストを調製した。コンポスターとして12L容のプラスチック製10号菊鉢を用い,投入有機物として近接の附属小学校の給食室から排出される野菜くず及び残食を用いた。実験目的,方法および結果は次の通りである。 コンポスト化実践において,教員の夏休みの攪拌作業省略の可能性を探るため,夏休みの熟成期間の攪拌回数の異なるコンポストを3水準(1週間に1回,2週間に1回,3週間に1回)で設定し調整した。実験処理を評価するため,コンポストの腐熟度を測定するとともにハツカダイコンおよびカブの栽培実験を実施した。その結果,攪拌回数の省略について概ね明らかにすることができたが,いくつかの課題があったため追加実験が必要となった。 また,生物検定法の開発および未熟コンポストによるダイコンの生育阻害を明らかにするため,投入物の量,頻度,また種類を変えることでいくつかの熟度や品質の異なるコンポストを調製した。投入物の実験要因として,1回あたりの投入量を2水準(200gおよび400g),投入頻度を3水準(2週間に1回,1週に1回,1週間に2回),また投入物として野菜くずのみの処理区等を設定した。残飯投入期間中のコンポストの品質は,観察上,明らかに粗悪なものから良質なものまで多様となり,目的通りのコンポストを調製できた。しかしながら,腐熟度判定装置による評価では大きな差は認められず,栽培実験において品質の差が明らかになった。腐熟度判定および栽培開始までの熟成の進行度が新しい課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の課題,コンポスト化における攪拌作業の省力化,簡易評価法の開発と不良コンポスト活用栽培法の確立に必要な様々なコンポストの調製および評価に対して,進捗状況は次の通りである。 攪拌作業の省力化に関して,目的に対応する実験処理を設けてコンポストを調製し,腐熟度測定および栽培実験の結果からコンポストを評価し,実験目的の内容を検討した。省力化については概ね明らかになったが,化学分析および攪拌方法の再検討が必要と考えている。 簡易評価法と不良コンポスト栽培に関して,予定通り多様な品質のコンポストを調製できた。特に実際の管理場面に近い観察による品質の評価については,投入量および投入頻度の違いで品質が明確に異なるコンポストを調製できた。課題としては,腐熟度判定装置による評価値が不明確だったため,これらの多様な品質のコンポストの評価について,観察による評価と化学分析による評価との比較の必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に調製したいくつかのコンポストについては,再度同様の実験を行い,再現性を確認するとともに,経時的な品質評価により腐熟度の進度を詳細に検討する。また,化学分析評価と官能評価(観察評価)についても比較する。 今年度の主な計画は,生物検定法の開発と腐熟コンポストによるダイコン栽培の失敗要因の解明である。具体的には,様々なコンポストを用いて,化学分析評価,検定用植物の初期成育による評価,栽培実験による評価の3評価における各数値間の相関関係を基にコンポストの品質の簡易評価法を開発し,またダイコンの袋栽培を実施し,コンポストの品質と生育阻害の程度との比較から失敗する条件を明らかにする。
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