2021 Fiscal Year Research-status Report
同僚制原理に基づく大学教育の質保証とアカデミック・リーダー育成に関する比較研究
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19K02856
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 和弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (30397921)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アカデミック・ガバナンス / 政府統制 / 同僚制 / アカデミック・ボード |
Outline of Annual Research Achievements |
第3年度である2021年度は、引き続きコロナ感染拡大のため、研究の遂行、特に海外調査が実施できない状況となったことを踏まえ、これまでの作業を継続して実施することとした。特に、アカデミック・ガバナンスに影響を及ぼし、変容を促してきた背景を考察するため、豪州における高等教育政策の動向を明らかにすることを目的に近年の政策課題とその結果に関する整理を行った。豪州高等教育政策を形成する基礎的要件として、①高等教育機関の類型とその設置形態・設置認可、②資金配分システム、③学位・資格制度、④質保証制度、⑤入学制度と教育課程、⑥授業料・奨学金制度に関する最新状況を収集し整理した。かかる成果の一部は、文部科学省編『諸外国の高等教育』(明石書店)として刊行されるとともに、「オーストラリア高等教育の動向―ポストコロナ時代の課題を見据えて―」と題して、文部科学省第38回「海外教育事情調査研究会」で講演を行った。同講演では、豪州高等教育の歴史的展開を背景に、高等教育の現代化が図られた1980年代以降の改革とそこでの連邦政府の役割拡大、質保証アプローチや資格枠組政策の変遷を整理したうえで、新型コロナ感染下における高等教育の変容を扱った。 さらに、これまでに進めてきた文献調査に基づいて、1990年代以降における豪州の大学ガバナンス改革の歴史的変遷とそこで展開されたガバナンスをめぐる論点を構造的に整理し、2022年度開催の日本高等教育学会大会で口頭発表を行うとともに、論稿として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大を受け、2021年度も当初予定していた海外調査が実施することができていない。この結果、現地調査による個別具体的なアカデミック・ガバナンスの実態を調査できていないことで、本研究の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目となる2022年度も引き続き、本科研による研究を継続する予定であるが、まずはこれまでの文献調査に基づいて「豪州における大学ガバナンス改革の歴史的経緯と論点整理」に係る論稿を完成させるとともに、現地調査を遂行して複数の大学におけるアカデミック・ガバナンスに関する関係者インタビューを行い、成果につなげることを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大が収束せず、予定していた海外調査が実施できなかったため。
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Research Products
(3 results)