2021 Fiscal Year Research-status Report
Science and technology policy in an era of diminishing research capability
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19K02857
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
林 隆之 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30342629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 宏之 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第2研究グループ, 総括主任研究官 (80344076)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学技術イノベーション政策 / 研究政策 / 研究拠点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本の研究力が今後、低成長あるいは縮小せざるを得ない中で、先導的な位置を日本が維持し続けるための政策を検討することを目的としている。 前年度までは、日本が中国・米国・欧州などの大国・地域と比して、絶対的な研究規模の拡大に限界がある中での対応方策を考える必要性の認識のもと、複数の研究機関が連携をして、ネットワーク型の卓越した拠点を形成する方法として、日本の大学利用・大学共同研究拠点の分析を行ってきた。そこで機関間の連携やそれによる引用数の高い論文の作成、人材育成の効果を示してきた。今年度は、材料分野を分析対象として、どのような公的研究資金が論文指標でみたときにどの程度の割合を支えており、また、どのような研究内容を生んでいるかを分析した。その結果、科研費が多くの論文を生む一方で、元素戦略プロジェクトなどのいくつかの大きな資金制度が時限で、かつ結果的に時期により入れ替わる形で当該分野の研究を資金的に支援してきたという状況が明らかになった。また、政策的にはナノテクプラットフォームやSpring8などのその他の基盤的設備などの支援施策が相互に連携して研究を支援する体制が形成されており、そのような関係が一部ではなあるが研究成果においても確認された。これらの定量的な分析に加えて、定性的な研究として、大学の研究力を検討する上では、トランスフォーマティブイノベーションと呼ばれる枠組みの中で大学のミッションの再定義に関する議論、運営費交付金などの基盤的資金のあり方に関する議論、研究者の研究時間などの環境に関する議論について、それぞれ論文や招待講演の形で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目までにCovid19の影響での遅延が見られたとともに、本研究に直接に関係する日本学術会議の「我が国の学術の発展・研究力強化に関する検討委員会」が設置し審議を開始し、研究代表者はその幹事を務めることになったため、そこでの議論も踏まえつつ研究を進めるようにしている。また、具体的な分析を進めている材料分野について関係府省との議論も進めており、それらの知見を踏まえて研究を発展させることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
材料分野を対象に公的な研究支援制度による各種の取組が日本の当該分野の研究力にいかに貢献しているかを論文データなどをもとに分析して政策効果を明らかにする。その中で様々な政策の相互作用についても検討する。また、オープンデータなどの動きの中で研究基盤の機能について、研究データについてのデータベースの分析等を行う。
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Causes of Carryover |
Covid19により旅費が発生しなかったこと、並びに、本課題に関係する日本学術会議の委員会や文部科学省との共同プロジェクトが新たに発生したため、次年度以降にそれらとの内容的関連性も踏まえつつ、本課題を最終的にとりまとめることが望まれるため。予算は主に、リサーチアシスタント経費や消耗品(書籍など)に用いる。
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Research Products
(7 results)