2019 Fiscal Year Research-status Report
IRの専門性活用と大学の文脈の相互構造に関する研究
Project/Area Number |
19K02874
|
Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
橋本 智也 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (40802327)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 哲也 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 准教授 (60825321)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | IR / Institutional Research / 執行部の期待 / IR担当者の専門性 / 訪問調査 / 大学の規模 / 設置形態(国立大学/公立大学/私立大学) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、IRの専門性が各大学の文脈に合致して活用されるための促進要因と阻害要因を解明することを目的とし、「大学が期待する成果」・「必要となる専門性」・「IR担当者が実際に持つ専門性」の相互構造に着目する。1年目の研究実施計画では、国内の大学を訪問調査し、IRの専門性活用を促進・阻害する要因に関して、2年目に実施予定のアンケート調査で問うべき内容を探索的に検討する、としていた。 実績として、訪問調査の実施校数は17校であり、設置形態別の内訳は、国立大学が4校、公立大学が1校、私立大学が12校であった。調査対象者に関して 、原則としてIR担当者だけでなく、大学執行部(理事長、副理事、副学長、事務局長等)、もしくは大学執行部の期待について回答できる役職者(IR室長等)を対象に調査を行った 。 聞き取り内容は、①IR担当者の業務・役割(当初の計画・期待、現状、計画・期待と現状の一致/不一致の要因)、②IR担当者の背景(学外採用/学内登用、募集要件/配置時に考慮した適性、専門分野/業務経験等)とした。 訪問調査の結果を基に、「大学執行部の期待の明確さ」、「専門性に対する大学執行部の期待感」、「期待と実際の専門性の合致」の関係について、類型化を行った(6つの類型)。全類型において、総じて大学執行部の期待の明確さと専門性との合致の程度に対応関係が見られた。ただし、個々の類型においては、大学執行部の期待が明確でない類型、期待が特定の領域(認証評価、研究)に集中している類型、教学・研究・財務等の幅広い領域に渡っている類型等、それぞれ異なった特徴が見られた。また、類型によっては、目新しさによる「IRへの期待」というよりも、組織文化に根付いた「IRの定着」が見られた。 このように、大学の文脈とIRの専門性の関係について、今後実施予定のアンケート調査で問うべき内容を探索的に検討し、今後のさらなる検証のための知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究実施計画の通り、国内の大学を対象とした訪問調査を行い、「大学が期待する成果」・「必要となる専門性」・「IR担当者が実際に持つ専門性」の相互構造に着目した類型化が行えているため。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予定していた訪問調査の一部が延期となっている(国立大学2校、公立大学4校)。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目に訪問調査が延期となった大学については、流行状況や社会情勢等を十分に考慮した上で、今後時機を見て追加調査を行う予定である。ただし、実施時期は、訪問調査の中止も視野に入れながら慎重に判断する。また、オンラインでの聞き取り調査等の代替手段も検討する。 2年目の研究実施計画では、IRの専門職化が進む米国を訪問調査し、国内調査で見出した促進・阻害要因を日米比較し、専門性の活用に関して日本に応用可能な知見を見出すこととしていた。しかし、米国においても新型コロナウイルスの感染が拡大している状況(本報告書作成時点)であり、大幅な見直しが必要と考えられる。また、同じく2年目の研究実施計画では、国内の全ての国公私立大学を対象にしたアンケート調査を予定しているが、各大学の状況を踏まえながら、3年目での実施に延期する等、実施時期の見直しを検討する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額(白石)が生じた理由は以下の通りである。 1)海外学会出張の取りやめ:学内業務が当初予定されていたよりも増加したことで、計画していた米国調査を断念することとなった。 2)新型コロナウイルス感染症流行拡大による訪問調査の中止:3月に計画していた訪問調査が感染拡大の影響により、延期となった。 次年度では、今年度実施ができなかった公立大学や短期大学等の調査を進める計画をしており、その際の訪問調査等の経費として次年度使用額から充当する予定である。
|
Research Products
(3 results)