2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K02994
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Research Institution | Yamaguchi City Foundation for Cultural Promotion |
Principal Investigator |
津田 和俊 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, 専門委員 (40545076)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオテクノロジー / 身体表現 / DIYバイオ / 遺伝情報 / エピジェネティクス / 鹿 / DNAバーコーディング / 環境DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パーソナル・バイオテクノロジーの可能性を、調査・実験・共同制作および総合的な整理を通じて具体的に描き、広く一般の方々と共有することが目的である。
初年度である2019年度は、アーティストとの芸術表現分野における共同制作に主に取り組んだ。身体性や野生動物との関わりに高い関心を持っているアーティスト集団 contact Gonzo(コンタクトゴンゾ)とともに、DNA解析などバイオテクノロジーに関する様々な実験に取り組んだ。さらに、鹿の生態や伝承、エピジェネティクスなどの専門家から助言をいただいて調査研究を進め、身体や文化、生命に対する理解を深めていきながら共同制作をおこなった。その研究の成果をもとに、2019年10月12日から2020年1月19日にかけて、山口情報芸術センター[YCAM]のスタジオAを会場に、contact Gonzo+YCAMバイオ・リサーチによる展覧会「wow, see you in the next life./過去と未来、不確かな情報についての考察」を開催した。また、展覧会にあわせて、ライブ・パフォーマンス、ツアー、ワークショップ、リサーチ・ショーケースの開催や、関連マガジンの発行など複数回にわたる色々な企画を通じて、広く一般の方々と共有した。
教育分野における学習プログラム開発としては、小学生から一般の参加者を対象に、DNA解析(DNAバーコーディング技術による生物種同定)を学びながら、オンラインの植物図鑑をつくるワークショップ「森のDNA図鑑」の開催をおこなった。4回目となる今年度は、実験プロトコルの見直しなどをおこない、これまで2日間だったプログラムを1日にまとめることで、より多くの参加者にワークショップを提供できるようにした。本ワークショップの成果は、ノルウェーで開催されたDNAバーコーディングの国際会議「iBOL 2019」で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーティストとの芸術表現分野における共同制作、教育分野における学習プログラム開発などを通じて、パーソナル・バイオテクノロジーの可能性を具体的に描くと同時に、展覧会やオリジナル・ワークショップ、書籍、ウェブサイトなどによってそれらを広く一般の方々に公開できてきている。
その他にも、8月には「Maker Faire Tokyo 2019」にパーソナル・バイオテクノロジーをテーマに出展、9月にはYCAMで開催された「SFPC Summer 2019 in Yamaguchi」にてバイオテクノロジーに関するワークショップを開催、11月には国際シンポジウム「YCAMオープンラボ2019:ナマモノのあつかいかた」に登壇し、パーソナル・バイオテクノロジーの可能性について国内外の実践者や一般の方々と議論をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
パーソナル・バイオテクノロジーに関する研究成果を所属研究機関のウェブサイトで公開し、適宜論文等で発表すると同時に、様々なアーティストや研究者との共同調査・制作、学習プログラム開発などをさらに進める。
また、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降の状況における、パーソナル・バイオテクノロジーの役割について、国内外の実践者とオンラインで共有する場を設ける予定である。
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Research Products
(8 results)