2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02994
|
Research Institution | Yamaguchi City Foundation for Cultural Promotion |
Principal Investigator |
津田 和俊 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, 専門委員 (40545076)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | バイオテクノロジー / COVID-19 / 新型コロナウイルス / DIY / 個人用防護具 / 生物学 / 生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、COVID-19感染拡大を受けて、公開プログラムをオンラインに移行した。
パンデミック状況下におけるパーソナル・バイオテクノロジーの役割について、国内外の実践者とオープンに議論する場として、オンライン・トークイベント「YCAMオープンラボ2020:続・ナマモノのあつかいかた」を企画し、2020年6月7日から8月2日にかけて、全9回にわたって実施した。各回では、インドネシア、ガーナ、オーストラリア、日本、オーストリア、米国、台湾、スロベニアと遠隔でつなぎ、各国や各都市の現状や、COVID-19感染拡大下におけるバイオやアートを取り巻く多様な実践事例や考え方を伺い、意見交換し、配信した。各回のトピックは「個人用防護具をつくって届ける」「検査のためのDIYハードウェアを共同開発する」「検査のための試薬の供給体制をつくる」「生物学をもっと広く学び理解する」「身近にある生態系を拡張する」「バイオアートの役割や可能性を再考する」「周りのウイルスや微生物について調査する」「市民参加を促す情報プラットフォームをつくる」「国際的なネットワークで連帯して協働する」である。全ての収録映像(英語音声・日本語字幕)は、YCAMのポータルサイトでアーカイヴ公開している。本企画に関連して、COVID-19感染拡大下の初期段階における日本のDIYコミュニティの対応、特にDIYフェイスシールドの共創の状況についての論文が、国際ジャーナル 「SDRJ」に掲載された。
また、2019年度に開催したcontact Gonzoとの展覧会「wow, see you in the next life./過去と未来、不確かな情報についての考察」の研究成果を、ナノポア・シーケンシング技術を芸術表現分野の展覧会やパフォーマンスに応用した先駆的な事例として、国際会議「NCM2020 Online」で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19感染拡大の影響を受けて、オンラインに移行するという変更はあったが、広くパーソナル・バイオテクノロジーの可能性について、また、COVID-19状況下におけるパーソナル・バイオテクノロジーの役割などについて、国内外の実践者や一般の方々と共有できている。
研究実績の概要欄に記載した内容の他にも、12月23日から2021年3月13日まで、約12週間にわたって開催された、環境省主催の実践型研修プログラム「migakiba」に現地アドバイザーとして参加した。5つの開催地域のひとつを山口県山口市が担当し、YCAMバイオ・リサーチのメンバーが現地事務局となって、計5回のウェビナー(オンライン・セミナー)や、オンラインの発表会を実施した。山口市では「土着のサイエンス」をテーマに、バイオテクノロジーやサイエンス、遊びを通して、子どもから大人までが分け隔てなく自然環境や生態系、生活のあり方を学び合う場や方法などを探求した。
また、8月には、バイオテクノロジーについて自宅で実験しながら学ぶ中学生向けのオンラインワークショップ「KIDS’ WORKSHOP 2020:バイオ祭」(六本木ヒルズ)に講師のひとりとして遠隔参加した他、福岡市博多区のエンジニアカフェのイベントで「エンジニアとパーソナル・バイオテクノロジー」をテーマに遠隔で講演をおこなった。10月には、「Global Community Bio Summit 4.0」に遠隔参加し、海外のDIYバイオ・コミュニティのメンバーと情報共有をおこなった他、食に関するバイオテクノロジーなどの技術の環境影響評価の国際会議「LCA Food 2020」に遠隔参加し た。2021年3月には、東京大学STIG主催のバイオエコノミーに関する勉強会で、パーソナル・バイオテクノロジーに関するYCAMの研究や教育活動、芸術表現活動について話題提供した。
|
Strategy for Future Research Activity |
パーソナル・バイオテクノロジーに関する研究成果をウェブサイトで公開すると同時に、アーティストや研究者との共同調査・制作、学習プログラム開発などをさらに進める。
COVID-19感染拡大の状況を踏まえて、バイオテクノロジー、災害、倫理、サステイナビリティの側面から食に関するリサーチをおこなう予定である。
|