2019 Fiscal Year Research-status Report
大学生における対人葛藤の創造的調整を促進する介入モデルの開発と効果検証
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19K03049
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
山地 弘起 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (10220360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保崎 則雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70221562)
三隅 友子 徳島大学, 国際センター, 教授 (20325244)
田中 東子 大妻女子大学, 文学部, 教授 (40339619)
谷 美奈 帝塚山大学, 全学教育開発センター, 准教授 (60582129)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学生 / 体験学習 / 対人葛藤 / 葛藤調整 / 社会情動的学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日の多文化共生の課題に直面して,大学を含め学校教育において社会情動的技能の育成が重視されている。なかでも対人的な対立や葛藤を調整できる能力が注目されており,日本の対人関係文化にあっても,必要があればより主張性を発揮し葛藤を創造的に調整する能力が求められている。そこで本研究では,日本ではまだ少ない大学教育での社会情動的学習プログラムの一形態を提案するため、対人葛藤の創造的調整を促進する介入モデルの開発とその効果検証を大学生を対象として行う。 初年度である今年度は,対人葛藤の調整および広義のコンフリクト・マネジメントに関する教育方法や評価方法等のレビューを行った。評価方法では,体験記述の分析や面接調査のほか,異文化コミュニケーションや社会的スキルの先行研究で開発されてきた質問紙やロールプレイ査定等を参照した。 並行して,研究代表者らがこれまで開発してきた社会情動的学習の方法を土台に介入モデルを構想し,学生が創造的な葛藤調整をやがては自力で試みていけるよう,効果的な発見学習が成り立つ条件を考察した。介入モデルには,葛藤体験をロールプレイで再現し,個人的体験の言語化と社会文化的省察を経て,再度ロールプレイを試行し体験学習の場に応用していく,というサイクルを含めた。学生要因では対人状況でのメタ認知機能を重視した。 介入モデルを構成する要素の実践的検討として、学生の自己形成を促す文章表現教育である「パーソナル・ライティング」において、成果物(パーソナル・ライティングの作品)を対象に、学生の人間関係観(自己認識と他者認識の深化と拡張)の質的分析を行った。また、日本人学生と留学生の初年次共修科目において、コミュニケーションの基礎のワークショップを実施して成果を評価するとともに、ドラマ手法(ロールプレイやソシオドラマ)を用いた新たなコミュニケーション教育を看護教育及び地域にて試行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、介入モデル案をワークショップ・プランに具体化し、今年度末にパイロット的なワークショップを実施する計画であった。ところが、新型コロナウイルスの影響により、3月中旬以降に予定していた集合研修が不可能となった。しかも、葛藤体験を生じる学習活動の場を、プロジェクト学習や留学生との共修科目、ゼミ単位での海外研修やボランティア活動、特定の期間のインターンシップ等から選定する計画であったため、対面活動を制限された状況が継続すると、身近な具体的体験をもとにしたワークショップが成立しないことになり、次年度においてもしばらく実践的な検討が難しいことが予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症対策を組み込んだ新たな生活様式や学習活動の工夫のなかで、大学生の対人葛藤の体験類型やそれらへの介入のあり方をあらためて検討する。そのうえで、オンラインでのワークショップの可能性を探り、ウェブ上での関連リソースの整備も試みる計画である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の本研究に関する海外学会での発表および研究動向調査に際して、所属機関から旅費の一部が補助されたことと、年度末に計画していたパイロット的なワークショップの実施が中止になったこととが主たる理由である。次年度使用額は、研究計画を一部変更してオンラインでのワークショップを設計・実施するための物品購入等に充てる計画である。
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Research Products
(9 results)