2019 Fiscal Year Research-status Report
防災教育の継続性に資する中等理科教育の科目横断的学習プログラムの開発
Project/Area Number |
19K03144
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 博史 広島大学, 教育学研究科, 教授 (70294494)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 信吉 広島大学, 教育学研究科, 教授 (30240873)
竹下 俊治 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90236456)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 防災教育 / 理科教育 / 通時的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
①学習素材の探査・教材化の検討に重点を置き,②学習文脈の考案,及び③学習方法・学習プログラム開発について検討した。①学習素材の探査・教材化では,基礎研究として,自然現象・自然景観の通時的な見方についての現状把握のため,火成岩の形成過程について高校生と大学生を対象として,また景観写真を用いた河川景観の読解について大学生を対象として質問紙調査を実施した。その結果,火成岩形成を通時的に捉えることに関して,マグマの温度変化とその動きとを関連付けて考えることに課題があることが示唆された。また,河川景観を通時的に捉えることに関しては,河川堆積物が水面より高い位置に存在することへの考慮がほとんどなされておらず,そのためステージ間連携に当たる,現状とは異なる水位を想定した景観の特徴把握には至っていなかった。これにより,景観写真の読解において,変化の原因とその結果は同時にあるのではないことが十分に理解できていないことが示唆された。さらに,素材データ収集と実験・観察法の開発について,平成30年7月豪雨災害による斜面構成物の移動状況の実地調査を主体として情報収集した。また,化学領域では身近な化学現象の理解のための実験教材の開発を行い,生物領域では地衣類を素材とした教材開発のための基礎的研究とICTを活用した実験・観察に関わる内容・方法について検討した。 ②学習文脈の考案と③学習方法・学習プログラム開発については,地学分野の学習項目の中で防災教育に直結する火山活動に関連する学習単元について検討を行い,学習プログラムの開発と授業実践による検証を行った。 以上の成果の一部を,研究論文3編(うち査読付き2編),国際学会発表等5件(口頭発表3件,ポスター発表2件),国内学会発表等19件(口頭発表13件,ポスター発表6件)として公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の本年度は,①学習素材の探査・教材化の検討に重点を置き,②学習文脈の考案,及び③学習方法・学習プログラム開発について検討した。研究実績の概要での記述の通り,各項目について一定程度の検討を行い,その成果の一部を研究論文(3編)及び学会発表(24件)として公表することで評価を受けることができた。この点では順調とも言えるが,素材探査のさらなる充実や地学,化学,生物の各領域の検討事項を関連付けた検討は十分とは言えず,上記の評価区分とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討結果を受けて素材探査を継続して行ない,教材開発のための基礎資料の蓄積をさらに進める。また,理科教育と防災教育の共通課題として今年度の研究から見いだされた土地の脆弱性を主なテーマとして,理科の見方や考え方としての通時的思考育成という観点から研究グループ内で検討を行う。この結果を基に,次年度に計画している各領域を関連付けた学習プログラムの開発・試行へと展開する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,年代測定に適した試料の探査が当初の予定どおりに進まず遅くなったためである。探査は継続的に実施し,結果として,本年度中に試料採取までは行うことはできた。しかし,試料を採取できた時期が予定より遅かったため,通常1ヶ月程度必要となる測定作業が年度内に終了ことができない状況が生じた。そのため測定作業の委託ができなかった。 以上により,生じた次年度使用額は,翌年度分として請求した助成金と合わせて直接経費(その他)に含め,年代測定の外部委託経費として使用する予定である。
|
Research Products
(27 results)