2019 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータとの対話で学びを深める状況論的プログラミング学習環境システムの開発
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19K03153
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
長 慎也 明星大学, 情報学部, 教授 (80350479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 茂樹 明星大学, 教育学部, 准教授 (00712449)
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 准教授 (70632602)
山中 脩也 明星大学, 情報学部, 准教授 (90548877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / コンピュータとの対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2019,令和元)年度は,「コンピュータとの対話」の構造について理論的な解析とそれを用いたシステムと教材の作成を進めた. 理論的な解析においては,C.S.Peirceの探究過程をコンピュータ上で実現できることを示し,「コンピュータとの対話」の大綱的指針を示した.これは,探究の三段階と呼ばれる過程を基礎とするもので,「仮説形成→演繹→帰納」を繰り返すことにより,探究過程を推進するものである.また,その推進に当たっては,「驚くべき事実の導入」が不可欠であることから,それをコンピュータ上で実現するための,タイミングやそのフローについて明らかにし,理論的にまとめた.その内容については,学会誌に論文を投稿済である. また,「コンピュータとの対話」を重視したシステムと教材の開発においては,プログラムから実行結果の「演繹」,実行結果からのプログラムの規則の「帰納」,実行結果からプログラムの規則にもとづきプログラムの作成を行う「仮説形成」という3つの段階を繰り返すことで学習者自らが暗黙的な知識を獲得できる教材を作成した.また,学習者間で,作問活動を行い,問題の質を相互評価させるシステムを開発した. これらの教材およびシステムは,本学の初年度の授業に実際に使用され,約150人の学生に使用された.毎回の授業で50問程度,半期を通じて600問超の問題が出題された.また,学習者間のコメントも1700件を超え,闊達な議論を行う授業を実践することができた.さらに,次年度の活動に向けて,学習者間での議論を深めるためのプログラムへのノート(アノテーション)機能も開発した. また,本学の活動を対外的に広く知らしめる活動として,共同研究者による系列校における授業実践を継続して行っている.さらに,活動内容を一般の人々にわかりやすく伝えるための手段として,グラフィックレコーディングを活用した討論会を開催した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は「個人」対「コンピュータ1台」という共同体内でのやりとりについて明らかにする,という目的を達成するため,可能なかぎり個人でのプログラミング活動を記録するための手段として,準備段階で開発を進めていたWebベースのプログラミング環境を活用し,学習者の書いたソースコードの変遷などを詳細に集めることに成功した.また,その内容から,学習者のつまづきを検出するための指標について検討を行い,指標の有効性がある程度認められる段階まで到達した. 今後,それらのつまづきをより詳細に分析するために,指標の見直しを行うことや,多様な授業においてのさらなるログの分析などが急がれる.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は「個人」対「コンピュータ1台」という共同体(共同体A)が複数集まった共同体,さらにこれらを「俯瞰的に包括する1台のコンピュータ」を加えた共同体(共同体B)において支援者となる情報システムの開発が目標となる.これに向けて,これまで開発してきた,学習者の活動を収集する仕組みや,つまづきを検出する指標,作問する仕組みを継続使用していく.実際,2020年度からの授業では,これらのシステムを初年次だけでなく,2年次の授業にも活用範囲を広げている.また,2019年度に開発したプログラムへのアノテーション機能も導入され,学習者が自らプログラムについて気づいたことを共有する流れを形成しつつある.これは,昨年度から開発しているプログラミング教材における「帰納」のフェーズをより具体的な活動として補強させる効果があると期待される.今後,受講者のアノテーションの内容について分析を行い,これらのシステムがプログラミング学習活動に有効に働いたかどうかを検証する. 並行して,昨年度までに開発した,学習者のつまづきの検出,および教員に通知する仕組み,また,コンピュータが自発的に具体的なアドバイスを行う仕組みの可能性についても検討していく.
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた設備(サーバ,実習用PCなど)が,既設のもので授業や活動を賄うことが可能であったため,購入を見送った.今後,授業における受講者増など,必要に応じて増強を行う可能性がある.
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Research Products
(16 results)
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[Book] 楽しく学ぶC言語2020
Author(s)
飯塚 康至(著)、長 慎也(監修)
Total Pages
400
Publisher
技術評論社
ISBN
978-4-297-11057-4
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