2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03216
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
小川 一美 愛知淑徳大学, 心理学部, 教授 (70345875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (30467500)
藤原 健 大阪経済大学, 人間科学部, 講師 (00707010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 解読 / 日本人 / 課題遂行型テスト / 対人コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,他者の感情,意図,状況などを読み取る「解読力」を測定するための,日本人用の課題遂行型テストを作成することを目的としている。課題遂行型テストとは,実際に刺激を呈示され,その刺激人物の感情状態や意図等を判断する形式のテストである。 2019年度には,国外で使用されている既存の課題遂行型解読テスト(PONS: Rosenthal, Hall, DiMatteo, Rogers, & Archer, 1979,IPT: Costanzo & Archer, 1989,DANVA 2 : Nowicki & Duke, 1994,GERT: Schlegel, Grandjean, & Scherer, 2014など)について整理し,各テストの特徴について文献のレビューに基づき検討した。いずれのテストも多くの先行研究で信頼性と妥当性の確認が行われていることから,それらの知見を利用することは効率性および効果性という観点から有益であると判断された。したがって,信頼性・妥当性が保証されている既存のテストをベースに,日本人用に改良するという手続きを採用し,日本人用解読テストを作成することとした。 まず,Geneva Emotion Recognition Test (GERT-S; Schlegel & Scherer, 2016)という顔や声や体の動きから他者の感情を読み取る能力の個人差を測定するテストについて,教示文や選択肢等を日本語に翻訳し,日本人参加者に実施した。このテストの刺激人物は10人のCaucasianであり,刺激動画には音声が含まれているが,無意味語を話しているため日本人にも実施可能であった。解読力や対人コミュニケーションに関する複数の他指標もあわせて測定したが,2019年度には詳細な分析までは進めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画時点では,国外で使用されている既存のテストについて,刺激人物を日本人に変更し日本人用テストを作成するという作業に2019年度から取りかかる予定であった。しかし,既存のテスト,つまり刺激人物が日本人でなくても,日本人の解読力を測定しうる可能性も考えられたため,刺激人物を日本人に変更した場合との比較も念頭におき,2019年度には「5. 研究実績の概要」で記したような既存のテスト刺激を用いて教示文や選択肢等を日本語に翻訳したテストの実施をまずは行った。したがって,計画よりも進捗が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.日本人用解読テストの作成 国外で使用されている既存のテストについて,刺激人物を日本人に変更し日本人用テストを作成する。刺激の質はテストの適否に関わる重要な要素であるため,演者および撮影・編集は専門家に委託する。また,既存テストの作成経験者や表情に関する研究を専門としている研究協力者らと議論を重ね作成を行う予定である。 2.日本人用解読テストの信頼性と妥当性検討 作成したテストの信頼性と妥当性の検討のため,類似ターゲットを測定しうる既存のテストや尺度との関連や,解読に影響を及ぼすことが明らかになっている他特性との関連等について実験や調査によりデータ収集を行う。なお,計画の時点から,実験室等での対面による実施だけではなく,インターネットを利用してデータ収集を行うことも予定していたが,新型コロナウィルス感染拡大の影響により,その必要性が増してきていることから,Web実験や調査を積極的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)2019年2月末から3月初旬に行われた国際学会に参加した際の旅費の引き落としが2020年4月に入ってからになったため,2019年度使用予定だった旅費が2020年度に繰り越された。また,2019年度中に日本人を刺激人物として撮影等を行い,演者および撮影の費用として謝金を使用することを予定していたが,「7. 現在までの進捗状況」で記したとおりその工程が2020年度にずれ込んだため,謝金が使用されずに残ったことが理由である。 (使用計画)2020年度は請求した金額と繰り越された額を合わせて執行するが,旅費に関しては,2020年4月に引き落としが行われたため,支出されている。また,「8. 今後の研究の推進方策」で記したとおり,2020年度は日本人用解読テストの作成およびその信頼性と妥当性の検討を行うため,謝金や調査委託費等が必要になる。
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Remarks |
※GERTの日本語訳バージョンを作成したことが記載されている
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Research Products
(3 results)