2021 Fiscal Year Research-status Report
ADHDに関わる神経心理学的指標を包括的に取り入れたアセスメントバッテリーの開発
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19K03304
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
鈴木 浩太 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (20637673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 佳美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20436877)
池田 吉史 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20733405)
安村 明 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (60723468)
北 洋輔 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 准教授 (90627978)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ADHD / アセスメントバッテリー / 神経発達症 / 神経心理学的検査 / 異種性 |
Outline of Annual Research Achievements |
注意欠如・多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder: ADHD)は、不注意と多動性・衝動性を主症状とする神経発達障害である。注意欠如・多動症(attention deficit hyperactivity disorder: ADHD)症状は、反応抑制、タイミング、遅延嫌悪、持続的注意、作業記憶など、様々な神経心理学的特徴で説明されてきた。昨年度までに、「反応抑制」、「作業記憶」、「持続的注意」、「遅延嫌悪」、「時間感覚」、「情動調節」の要素を含むアセスメントバッテリーを作成し、アセスメントバッテリーを成人164名に実施した。分析を行い、作業記憶と持続的注意に関わる指標がADHD症状と関係することを明らかにした。現在、論文としてまとめ、学術誌に投稿しているところである。昨年度までに、包括的レビューを行った。オンラインデータベースを用いて,「meta analysis」,「meta-analysis」,「systematic review」のいずれか一つ以上,及び,「ADHD」をキーワードとして検索を行った。すべての標題と要約を確認し、最終的に、32件のメタ分析の論文の結果をまとめた。注意を評価する連続遂行課題(Continuous Performance Task: CPT)における見逃しエラー、お手つきエラー、反応時間の標準偏差で、ADHD児とTD児の差に関する有意な効果量が示されていた。しかし、有意な効果量の指標であっても、ADHD児と定型発達児を正確に判別できないと報告されていた。つまり、本研究の仮説である「ADHDは単一の心理学的特徴で説明できないこと」が確認できた。この結果について、論文としてまとめて、論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小学校等で、定型発達児の大規模な調査の実施を行う予定であった。昨年度からの新型コロナウイルス感染症の影響は、今年度も続いており、当初の計画の実施が困難であった。本研究の当初の計画は、対面で大規模に行う必要があるため、今後、数年は実施が困難であることが予測される。成人や文献レビューを中心に実験を行う研究計画を修正し、進展させたため、やや遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
対象数が少なくても実施可能な研究を計画した。今後、成人を対象にして、研究を進めていく。今年度までに実施した164名のデータ、文献レビューの結果とともに、新たに得られる結果を検討していくことで、研究を進展させていく予定である。成人を対象とした認知実験を行い、詳細なADHD特性と認知機能の関係を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、進めることができなかった研究があるため。計画を進めるために使用する。
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