2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03356
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
上野 淳子 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (90460930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 恋人による被支配感 / 尺度作成 / デートDV / DV / IPV |
Outline of Annual Research Achievements |
従来のデートDV実態調査では、男性の方が暴力行為を多く受けていることが示されてきた。しかし、これらの調査は、暴力行為の頻度のみを尋ね、頻度が高ければデートDVの被害も大きいと判断している点で問題である。暴力の本質は暴力行為そのものではなく、それが生み出す支配的関係性であるため、暴力行為に加え、その心理的結果である支配-被支配関係を把握する必要がある。そのため、2019年度に行った調査データを分析し、支配-被支配関係を捉えられる「恋人による被支配感尺度」15項目を作成した。その成果をもとに学会発表を行った。 当初、2020年度は完成した「恋人による被支配感尺度」を用い、被支配感の成立に寄与する暴力行為およびそれ以外の要因を明らかにするため、交際中の恋人がいる未婚の若者のみを対象としたインターネット調査を行う予定であった。しかし新型コロナ感染拡大により、恋人やそれ以外の人との交際の仕方が通常とは大きく異なる事態となり、当初の目的のまま調査を行うことは不可能であると判断した。収束の見通しも立たない中ただ調査を延期するのではなく、コロナ禍でDVが増加したという指摘もふまえ、新型コロナ感染拡大が親密な関係における暴力(IPV)と支配-被支配関係にどう影響したか明らかにすることも目的に加えてインターネット調査を行った。恋人のいる未婚の男女各350名、既婚の男女各250名、計1,200名のデータを得、現在データ分析を行っている。 さらに、調査目的の追加に伴い、IPVに関する文献研究とこれまでの調査結果の再分析、再検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尺度の作成と学会発表は当初の予定通り行うことができた。 しかし、新型コロナ感染拡大によりインターネット調査の内容を検討し直す必要があった。さらに、DVも含めるなど調査目的の追加を行ったことで、IPVに関してより幅広い文献研究が必要となった。それに時間を要したため、調査は実施できたものの実施時期が予定よりやや遅くなり、結果の分析、整理も遅れ気味となっている。 ただし、調査目的の追加によって文献研究とこれまでの調査結果の再分析、再検討を行ったため、学会発表を当初の予定よりも多く行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
インターネット調査の分析を行い、その結果を学会発表する。 論文を執筆し、投稿する。 交際中のカップルを対象とした調査を実施し、支配-被支配関係の相互性とその要因を検討する予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響により、調査協力者を得ることがかなり困難な状況にある。対象者を交際中のカップル以外にも拡大する、調査協力者を得られやすいより心理的負担の少ない調査内容に変更するなどの対応を検討し、調査の実施を目指す方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大により全ての学会がオンラインでの実施となり、当初予定していた旅費がかからなかったためである。 2021年度も学会は全てオンラインで行われるため、旅費は不要と予想される。カップル調査の調査協力者を得ることが困難な状況が続いているので、余剰金は調査協力者の確保につながるよう使用したい。調査協力者への謝礼の増額、縦断調査も行って複数回の調査とするなどを検討している。
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Research Products
(4 results)