2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲージ理論からの無限次元力学系とホモトピー論による低次元多様体の不変量
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19K03493
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹平 裕史 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (30466825)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Seiberg-Witten理論 / Floer理論 / 安定ホモトピー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き、第一Betti数が正の3次元多様体に対するSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型を研究した。Seiberg-Witten Floer安定ホモトピー型は第一Betti数が0の3次元多様体に対してManolescuによって定義された不変量で、Kronheimer-MrowkaのMonopole Floerホモロジーの精密化である。 第一Betti数が正に対しては、解析的困難のため定義されてこなかったが、Matthew Stoffregen (Michigan state university)との共同研究によって、 その困難を解決しSeoberg-Witten Floer安定ホモトピー型を定義することができた。さらに我々が構成した Seiberg-Witten Floer安定ホモトピー型を用いて、 3次元多様体に対するFroyshov型不変量を定義し、いくつかのトポロジーへの応用を得た。応用は境界をもつ滑らかな4次元多様体の交差形式に制限を与えるものである。これは、閉4次元多様体や第一Betti数が0の3次元多様体を境界としてもつ4次元多様体に対する結果を、自然に拡張したものになっている。また、いくつかの具体的な3次元多様体に対して、Froyshov型不変量の計算を行なった。これらの結果は今後、第一Betti数が正の3次元多様体やそれを境界としてもつ4次元多様体の研究に貢献することが期待できる。 これらの結果は論文としてまとめ、arxivで公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一Betti数が正の3次元多様体に対してSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型を定義するという問題が解決され、さらにトポロジーへの応用を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Seiberg-Witten Floer安定ホモトピー型をこれまでに幾つかの3次元多様体に対して計算したが、今後の研究ではさらに広い範囲の3次元多様体に対して計算し、トポロジーへ応用することを目標として研究していく。そのためには3次元多様体に手術を施したときのSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の振る舞いを調べることが重要であると考えている。今後、手術に関する振る舞いを中心に研究していく予定である。引き続きMatthew Stoffregen と共同で研究していく予定である。また、Seiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の構成は単一の3次元多様体だけでなく、3次元多様体の族に対しても構成可能である。族のSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の応用についても研究していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナ感染のため研究集会、セミナーが全てオンランインになったため、旅費を使用することなく、次年度使用額が生じた。オンライン研究集会での発表のための機器類を揃えたり、コロナ収束後に研究集会へ参加するための旅費として使用する予定である。
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