2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲージ理論からの無限次元力学系とホモトピー論による低次元多様体の不変量
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19K03493
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹平 裕史 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (30466825)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Seiberg-Witten理論 / Floer理論 / 低次元トポロジー / ホモトピー論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではSeiberg-Witten Floer 安定ホモトピー型という3次元多様体の不変量を研究した。この不変量は第一 Betti数が0の場合にManolescuによって定義された。Seiberg-Witten方程式が定義する力学系に対して, Conleyの指数理論を適用することで定義される。Seiberg-Witten Floer安定ホモトピー型はCW複体の安定ホモトピー型として定義され、そのホモロジーをとると, Seiberg-Witten Floerホモロジーが再現される。Bauer-Furuta不変量と呼ばれる4次元多様体の不変量の計算、境界付き4次元多様体のトポロジー、ホモロジー3球面のホモロジー同境群などへの興味深い応用が知られている。 第一Betti数が正の場合に、Seiberg-Witten Floer安定ホモトピー型を定義するれば、より多くの応用を得られることが期待できる。しかし、第一Betti数が正の場合に定義するには、本質的な困難があった。Kronheimer-Manolsescuによる先駆的な研究があったが、厳密に定義するには至っていなかった。本研究では、第一Betti数が正の場合にSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の定義を確立することを研究し、2つのバージョンを定義することに成功した。さらに、境界付き4次元多様体のトポロジーに関するいくつかの応用を得ることができた。本研究はミシガン州立大学のStoffregenとの共同研究として行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標であった第一Betti数が正の3次元多様体に対するSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の定義を、確立することができた。さらにトポロジーへの応用もいくつか得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究で定義されたSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型を具体的に計算し、応用することを研究していく予定である。特に、3次元多様体を、結び目を用いて手術したときのSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の振る舞いを研究することで、計算方法を確立することを目標とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナのため、研究集会等がオンライン化され、予定変更があったためである。この剰余金は来年度、研究集会に参加したり、研究集会を開催したり、研究者を招聘するために使用する予定である。また、今後も研究集会等は対面、オンラインのハイブリッドで行われることが予想される。オンラインによる講演等に対応するための、機器の購入にも使用する予定である。
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