2021 Fiscal Year Research-status Report
社会性昆虫の巣造りに対する数理モデル-多因子走性系に発現する対称性崩壊-
Project/Area Number |
19K03594
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大崎 浩一 関西学院大学, 理学部, 教授 (40353320)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 孝之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50599644)
陰山 真矢 関西学院大学, 理学部, 助教 (80824060)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 走化性方程式 / 走化性・増殖系 / Keller-Segel系 / パターン形成 / 反応拡散系 / Deneubourg系 / indirect走化性系 / 非線形現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
J. L. Deneubourg(1977)が提案した3因子走性系は,社会性昆虫であるシロアリの営巣過程に関する方程式で,シロアリ密度,堆積物質密度,化学物質濃度の時間変化に関する3本の方程式からなる反応拡散移流系です.特に,堆積物質は拡散しないため,数学的には部分散逸性を有する準線型偏微分方程式系に分類されます.今年度はシロアリの飽和作用を導入した新しいモデルを提案し,その線形化解析とパターン形成に関する研究を行ないました.一方,S\v{k}arka-Deneubourg-Beli\'{c}モデル(SDBモデル)に関して,これはミツバチ営巣についての直交2方向への巣板伸展を考える数理モデルですが,上で述べた走性の項と類似の項を有しており,3因子以上の走性系という視点から新規な解析が必要であり,これまでの研究成果をこの方向へ発展させることになります.今年度はSDBモデルをより一般性高く実際の問題に近づけるためにn方向への拡張を行ない,特にn=3の場合においてのパターン形成現象を解分岐の視点から研究しました.さらにSDBモデルはミツバチ総数が必ずしも保存されないということに気づき,これを受けてミツバチの作業領域への出入りや営巣休息がないという状況下においては総数が保存するという新たなモデルを今年度提案し,その解析も行ないました.特に総数が保存するモデルの変更については,空間一様解周りの線形化方程式がSDBモデルと一致するという形で行なっており,ある種の拡張になっています.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していますが,一部の研究に関して,新型コロナ感染症(COVID-19)の影響で大学施設が自由に使用できない時期がありました.それについては実験計画を見直し,研究課題全体として大きく遅れが出ないよう調整しました.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も上で述べた飽和作用を課したDeneubourg系の解析とSDBモデルの解析を行ないます.特に次年度は,Deneubourg系については,解の存在証明とパターン形成について研究します.またSDBモデルについては,ミツバチ総数が保存される場合と保存されない場合それぞれについて,時間局所解の存在証明とパターン形成について研究します.
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症(COVID-19)の影響を受け,さまざなま研究集会が中止となり出張が不可能となりました.また予定していた対面の研究打ち合わせも行なうことができませんでした.さらには一部のミツバチ観察実験について行なうことができず,それらの予算を次年度に繰り越すこととしました.次年度,研究集会出張や対面の研究打ち合わせのための旅費や,ミツバチ観察実験に係る消耗品費として,繰越分も含めて本研究費を適切に使用します.
|
Research Products
(8 results)