2022 Fiscal Year Research-status Report
量子情報量による不確かさの特徴づけと量子系におけるロバスト制御理論の構築
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19K03619
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大木 健太郎 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40639233)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 適応制御 / ロバスト制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き,量子系へのロバスト適応制御の研究を進めた.国際会議論文を2本投稿し1本は受理,1本は審査中である.また,国内会議に1件の発表を行った. 国際会議論文の内容は,適応制御における収束性改善を扱ったものと,量子系のロバスト確率安定性についての議論を海外の共同研究者とともに行ったものである.適応制御における収束性改善の問題は,適応ゲインの設計問題を単純化して最適制御問題として定式化し,その最適解を解析に求めた.その最適解はそのまま元の問題に扱うと性能は出ないが,数値実験を通してどのように改善すればよいかを議論し,少ない試行錯誤で良い適応ゲインを得ることができた.また,ロバスト確率安定性については,従来のロバスト安定化制御理論で議論されがちの平衡点の存在が仮定できないときに,平衡点付近に留まる確率を理論的に保証した.これは未知のモデル化誤差が平衡点を変化させる,あるいは除去することを想定した場合で,確率安定性の変化がどのようになるかを求めたものである. 国内会議での発表は,量子アニーリングマシンのロバストな操作方法についてを議論した.量子アニーリングは,従来ゆっくりと時間をかけなければ正しい解を得る確率が高くならないが,入力にあえて雑音を加えることで,短時間での操作でも比較的高い正解率を得られることを確認した.我々の提案した方法では,アクチュエータに負荷をかけることで実質的な計算時間を短くできる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は留学のために研究成果発表は少なくなったが,海外の研究者との協力もあり,研究の方向性に幅が広がった.とくに本研究の元のテーマであるロバスト制御の研究に回帰でき,その議論を良い進度で進められている.また,国内の研究者との議論の中で量子計算において重要になる問題(量子アニーリングにおける計算時間と実際の実行時間の関係や誤り訂正)を制御問題として抽出でき,簡単ではあるが実用的な問題につながる研究発表ができたため,当初の予定には無かった進捗が出ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
適応制御の方向では,大域的収束性の議論がほぼできあがったため,細かい議論を詰めつつその論文化を行う.ロバスト制御の方向では,成果は出ているので,こちらも論文化を進める.
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Causes of Carryover |
2022年度の後半は大学の経費で長期海外出張をしており,旅費等が全く発生しなかったため.次年度に採択される国際会議への参加費・旅費,論文の投稿料などに利用する.
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Research Products
(1 results)