2021 Fiscal Year Research-status Report
high-order fluctuations of turbulent flows studied with a novel theoretical method of constructing solutions
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19K03669
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
松本 剛 京都大学, 理学研究科, 助教 (20346076)
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2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 乱流の統計法則 / 乱流の統計法則 Euler方程式の散逸的弱解 / Onsager予想 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究で扱う新理論解法は3次元非圧縮Euler方程式の非定常な弱解を周期境界条件下で反復的に構成するものである。これは数学者によって提唱された厳密な解法であり、構成された弱解は現実に存在する流体乱流と共通の性質をもつ。特に共通の性質として著しいものは速度差のスケーリング則である。現実の乱流ではこのスケーリング則の指数は単一でなく、多重であると考えられ、高次モーメントなどの統計量にその証拠が見られる。他方で、新理論解法はひとつのスケーリング指数を指定して解を構成することができる。いわば、現実の乱流を制御してスケーリング指数の範囲をより狭めたものと考えることも可能である。
本研究では、現実の乱流の多重スケーリング則について従来とは異なる知見を得ることを目的として新理論解法の数値シミュレーションを先年度から引き続き行った。今年度の実績は、(1)数値シミュレーションの安定化、(2)弱解のスケーリングについての予備的結果である。
まず(1)について述べる。先年度中からあった問題の一つは、シミュレーションが数値的に不安定になることであった。これは、有限の格子点数で計算することから生じるもので、先年度以前におこなったパラメータ(新理論解法自体にあるもの)の最適化でも回避できなかった。そこで、今年度は数値シミュレーションの細部をすべて見直し、数学的構成法で使われているものにできる限り忠実なものとした。この結果、数値的不安性のほぼすべてが取り除かれた。しかし、数値的な正則化を1,2箇所で導入しており、これが過剰なものとなっているか否かの精査が必要である。次に(2)について述べる。安定化の結果、反復解法の反復数を大きくとれるようになった。その結果、弱解の速度差のスケーリング則が数値的に明瞭となり、その高次の振舞についての予備的結果が得られた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
弱解であれ、Navier-Stokes乱流であれ、速度差のスケーリング則をある程度まで明瞭に観察するためには、系の最大スケールと最小スケールが大きく分離していなければならない。新理論解法の場合、このスケール分離は反復解法の反復回数できまる。つまり、反復回数を3, 4, 5と大きくすることでスケールの分離がすすみ、スケーリング則がより明確に観測できるようになる。しかし、数値シミュレーションで反復回数をすすめる場合に数値的不安定性が足かせとなって思うようにスケール分離をとることができなかった。今年度はこの数値的不安定性をとりのぞくことに注力した。その結果、取り除くことに成功したと考えている。この成果をいかして、次年度は物理的な研究に集中する計画である。
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| Strategy for Future Research Activity |
前述したようにテクニカルな数値的不安定性がおそらく解消できた。したがって、数値シミュレーションでメモリの許す限り反復回数を大きくすることが可能となった。今年度は、新理論解法内のパラメータの再最適化をおこって、我々がアクセスできる中型、大型の計算機で反復回数を可能な限り大きくとる計画である。この結果、今年度に得たスケーリング則についての予備的結果をより確実なものとする。また、この結果についての理論を考案する計画である。
この一方で、この不安定性解消の過程で導入した1,2の数値的な正則化は新理論解法にないものである。したがって、この正則化が過剰なものになっていないかどうかを、実験的に明らかにする。
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| Causes of Carryover |
2021年度中に参加予定の国際会議が3件あった。コロナウィルス対策のため、イタリアのものは完全オンライン、カナダでのものとイギリスでのものはハイブリッド開催となった。このため、旅費が不要となり次年度使用額が生じた。その使用計画は、今年度中に開催予定の同様のテーマの国際会議に参加することで成果報告として使用する予定である。
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