2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on growth of nanoparticle in spatio-temporal electric field fluctuation
Project/Area Number |
19K03809
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鎌滝 晋礼 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (60582658)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ナノ粒子成長 / 電場揺動 / 反応性プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プラズマ中の時空間的電場揺らぎが存在する中のナノ粒子の成長のメカニズムを解明する目的に研究を行っている。IoTデバイス創成における工程の70%以上はプラズマプロセスが占めている。そのプラズマプロセスにおける重要な技術は、ナノ粒子のサイズのコントロール技術である。申請者を含む研究グループは、プラズマに電場揺らぎを印加することで、通常の放電時と比べ、サイズ分散も、サイズも小さいナノ粒子を製成できることを見出した。しかし、この現象は、従来のプラズマプロセスにおける考え方を変えざるを得ない結果(放電電力とプラズマ密度の関係の矛盾等)が含んでおり、この電場揺らぎがなぜナノ粒子の成長を抑制するのかについては、明確なメカニズムは解明されていない。そこで、今年度は、新たに高速度カメラを準備することで、プラズマ中に発生したナノ粒子量とプラズマの発光情報の同時計測を行い、それぞれの関係を明らかにした。プラズマ中に電場揺動は、AM変調放電を行うことで励起させている。従来のナノ粒子成長は核発生から急速成長期を通じて成長飽和期となるが、プラズマ中にAM変調による電場揺らぎを印加すると、急速成長期が見られず、ナノ粒子は小さいサイズのまま安定期に入ってしまうことを、様々な実験条件で確認した。AM変調を印加することで、ナノ粒子量が抑制されると、ナノ粒子が生成される場所であるプラズマシース境界領域のプラズマ密度は微増する現象を明らかにした。また、ガス圧力や変調周波数などの条件違いにおいてナノ粒子量の抑制に至らない実験条件があることがわかった。これらの原理解明のためにも、実験結果の解析及び予測のために機械学習の手法を導入し、少ないデータにできるように解析手法を開発した。さらに、低温成膜におけるナノ粒子のサイズ制御において、ガス流量や流量比が重要であることも明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの本研究の達成度は、当初の計画以上に進んでいる。 2019年度は、(1) プラズマ密度の空間構造観察用の新規高速度カメラを購入し、現有の高速度カメラによるナノ粒子量の空間構造と同時に計測した。これにより、ナノ粒子量とプラズマ密度の空間構造の関係を明らかにした。ナノ粒子が生成される場所であるプラズマシース境界領域であることを確認した。また、ナノ粒子の成長が抑制されると、ナノ粒子が生成している近傍のプラズマ密度が微増することがわかり、それ以外の場所ではプラズマ密度が微減することもわかった。さらに、プラズマ中の電場揺らぎを印加するAM変調周波数及び変調度とナノ粒子量抑制効果は、非線形関係にあることがわかった。 (2) それぞれ得られた現象及び結果が複雑に関係し合っていることも踏まえ、統計的手法及び機械学習の手法を用いる解析手法を解析した。特にデータ数が少ない場合に、予測精度の向上させる手法を検討し新たに開発した。 (3) また成膜プロセスにおいて、ナノ粒子成長制御の手法としてガス流量比及びガス流量が重要であることを見出した。ナノ粒子のサイズが小さいままでいることは、気相プラズマ中のナノ粒子において化学反応が進むことを明らかにした。これらの結果から、ナノ粒子成長制御において、電場揺動の効果のみに焦点を当てる場合に、ガス流量等の別の要素が入らないようにすれば良いことがわかった。 このように多角的に研究が進んでいることから当初の計画以上に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、プラズマ密度の空間構造観察用の新規高速度カメラを購入し、現有の高速度カメラによるナノ粒子量の空間構造と同時に計測した。2020年度は、プラズマ中の電場揺動の時空間構造を計測する。電場計測のための多点プローブを作成する。まずは、平行平板プラズマにおける電場分布を正確に計測する。そして、多点プローブと高速度カメラ2台用いて、電場とプラズマ密度とナノ粒子量の同時計測を行う。これにより、ナノ粒子量と電場、電場とプラズマ密度の相互作用関係解明を目指す。それぞれ得られた結果同士の関連を明らかにする上で、現象が複雑に結びついてあることも踏まえ、さらに精度の良い機械学習を用いた解析・評価手法を開発する。また、AM変調を印加する場合としない場合で膜質(ここでは保護膜)に与える影響も調査する。
|
Research Products
(13 results)