2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical estimation for electrical conductivity of clay minerals under High-Temperature condition by DFT-MD hybrid calculation methods
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19K03996
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北村 圭吾 九州大学, カーボンニュートラルエネルギー国際研究所, 助教 (60618825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20400426)
ステイコフ アレキサンダー 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (80613231)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 密度汎関数 / 分子動力学 / ハイブリッド計算 / 粘土鉱物 / 高温条件下 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は密度汎関数ー分子動力学(DFT-MDハイブリッド計算手法の確立をめざし,DFT法およびMD法のそれぞれ手法で,層状ケイ酸塩鉱物のイオン伝導度と結晶構造の温度依存性の評価手法を検討した. まず,MD法を用いて層状ケイ酸塩鉱物の結晶構造の温度依存性の評価手法の確立を目的として,黒雲母の結晶構造の温度依存性を400度までの条件下で確認した.その結果,温度の上昇に伴い,a軸,b軸,c軸のそれぞれの方向で等方的に膨張していること,beta角が減少して行くことが明らかになった.これは温度上昇に伴い層間の陽イオンの位置がずれていくこと意味している.また結晶構造の変化に基づく黒雲母の弾性定数を評価し,その温度依存性も併せて検討した.この検討結果を用い,黒雲母の弾性波速度が温度の上昇に伴い,ほぼ等方的に減少することを確認した.この結果は400度程度の温度条件下で,実験的手法により測定された黒雲母にとむ岩石の弾性波速度が大きく低下するという観測事実を定量的に説明できる可能性がある.上記のような検討結果から,MD法によるケイ酸塩鉱物の結晶構造変化は実験結果などから推測される物性変化を合理的に説明可能であり,ほぼ確立されたと考えている.なお,この検討結果は国際学会において一部公表済みである. またDFT法に基づく層状ケイ酸塩鉱物の電気伝導度推定法は予察的に基底状態のスメクタイトを用いて検討中である.次年度はスメクタイトとおもにイライトの電気伝導度をDFT法により評価し,その後,DFT-MD法とのハイブリッド計算手法の開発に取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究によって.温度変化に伴う層状ケイ酸塩鉱物の結晶構造の変化をMD法に基づき評価する手法がほぼ確立されたと考えている. 一方,DFT計算において予想より大きな計算量となることが示唆されており,効率的な計算条件の設定などから研究目的の達成のために不可欠な条件の選定を行う必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスメクタイトとイライトを対象としたDFT―MD法の開発に取り組み高温条件下でのこれらの粘土鉱物の電気伝導度の評価を実施する.また,試薬として購入できる粘土鉱物試料を用いて実験室において高温条件での電気伝導度測定を実施し, DFT-MD法によって評価した電気伝導度の検証をおこなう.その後,DFT-MD法をパイロフィライトなどの高温で安定な酸性変質鉱物に適応してこれらの鉱物の高温条件下での電気伝導度を評価する.またDFT-MD法によって評価した粘土鉱物の電気伝導度について,得られた成果をとりまとめ,成果の公表を行う.
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Causes of Carryover |
本研究では既存の並列計算機クラスタにノードを追加してDFT-MDハイブリッド計算を実施する予定であったが,既に充分な能力を保持しているため,新規ノードの追加は不必要であると判断した.そのため新規追加予定だった計算機の購入予算が不使用となった.この未使用分はR2年度でVASP等の必要なソフトウエアのライセンスを購入する予算として使用する予定である.
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Research Products
(3 results)