2020 Fiscal Year Research-status Report
摩擦攪拌プロセスによる改質部の切削性および難削性発現機構
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19K04134
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
生田 明彦 近畿大学, 工学部, 教授 (70330321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎野 良比呂 近畿大学, 工学部, 教授 (80273712)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摩擦攪拌プロセス / 切削 / 表面改質 / 切削抵抗 / 残留応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,摩擦攪拌プロセスによって硬質材料を分散させ,金属基複合材料のように表面改質した材料表面の仕上げ加工として切削加工に注目し,その切削性を明らかにするため,改質材料の特性が切削性に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている. 今年度は初年度に引き続き,摩擦攪拌プロセス部における基本的な切削時の現象を明らかにするため,本来の面加工を想定した摩擦攪拌プロセス部が重なりあう場合(複列処理)について検討した.この時,昨年度との結果(単列処理)と比較するため,切削時の諸現象として切削抵抗,仕上げ面粗さおよび仕上げ面の残留応力について同様に調査を行った.これらの結果から,複列処理を行った場合,改質部自体の切削性は優れているため,改質部の処理面積が増加することで摩擦攪拌プロセス部の切削性について,特に切削抵抗を主として改善できることを明らかにした.また,複列処理した場合には摩擦攪拌プロセス部が重複する領域があるため,単列処理の場合に見られた摩擦攪拌プロセス施工方向と切削方向との相対方向の影響も減少することを明らかにした. 一方,硬質材料を分散させる摩擦攪拌プロセス条件についても基礎的な調査を行っており,超硬合金粉末をアルミニウム合金表面に分散させる複合化摩擦攪拌プロセスに関して,こちらも複列処理した場合について調査を行った.その結果,単純な改質とは異なり,粒子分散を行った場合は,摩擦攪拌プロセス部の機械的性質が向上することから,切削抵抗がやや大きくなる単列処理と同様,複列処理でもその処理面積の増加がさらに切削抵抗を大きくすることを明らかにした.また,摩擦攪拌プロセス部の残留応力測定結果から,複列処理は単列処理と比較して,こちらも摩擦攪拌プロセス部が重複する領域で,残留応力は比較的大きく増加することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスによる実験着手時期の遅れにより,改質部自体の特性調査に関して若干の遅れが生じた.それでも,昨年の遅れ分である切削性評価実験については,研究実績でも示すように解消できたものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに導入した切削動力計およびX線残留応力測定装置を使用し,引き続き摩擦攪拌プロセス部における基礎的な切削時の現象を調査する.また,これらに加えて,切削部の表面性状などに関する詳細な調査を実施する.
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Causes of Carryover |
実験計画の遅れやコロナウィルスの影響で学会発表の目途が付きにくいため,当初予定の学会発表1回のみになってしまったことから,持ち越し分の学会発表をさらにもう1回行う予定である.
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Research Products
(1 results)