2021 Fiscal Year Annual Research Report
鉛フリー強誘電体を用いた先進医療用マイクロスケール形状記憶材料の新規創出
Project/Area Number |
19K04479
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
今泉 文伸 小山工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (10361205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 勇喜 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 准教授 (40824496)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | BiFeO3 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電体や圧電材料を用いたデバイス、センサは現在様々な分野で使用されているが、主材料として使われているPb(Zr,Ti)O3には鉛が含まれており、代替えの材料が求められている。本研究では鉛が含まれていない圧電材料であるBFO薄膜を、RFスパッタリング法を用いて成膜し基礎的な物性について調べた。また、基板にはBFOと格子定数のミスマッチングが少ないDSOを用いた。DSOの格子定数はa=0.394nmであり、BFOの格子定数に非常に近い利点がある。成膜後は、400度から700度の温度範囲で結晶化の熱処理を行い、XRDで配向性を確認した。各温度で熱処理を行ったサンプルについて、Θの範囲を22度から23.2度の範囲で詳細に分析した。BFOをDSO上に成膜したサンプルは、22.5度付近に二つのピークが出現しており、これらの二つのピークは、(110)DSOと、(001)BFOのピークであると考えられる。(001)BFOのピークは成膜直後では検出されておらず、500℃以上の熱処理によって、徐々にピークが大きくなり(001)BFOの配向性が出現したと考えられる。また、熱処理温度の上昇により、(001)BFO/(110)DSOのピーク比が大きくなっていることもわかった。BFOは主に(110)配向で形成されており、さらに700度まで熱処理温度の上昇することで、(001)配向も出現していることが分かった。次にXPSを用いて2種類の結合(FeOとFe2O3)を確認した。DSO基板とBFOの密着性や剥離に関する問題は特にみられなかった。さらにSiの片持ち梁上にBFOを形成し、電圧印加時と熱による変形を確認した。電圧解放後は元の形に戻る事も確認できた。本研究で開発したBFOは、強誘電体や圧電体の各種デバイスの材料として利用できる可能性があることが分かった。
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