2019 Fiscal Year Research-status Report
海洋環境生態系との調和が可能な高耐久電気防食工法の開発
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19K04553
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上田 隆雄 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20284309)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電気防食工法 / アミノ酸 / 陽極被覆材 / 高耐久 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋環境との調和が可能なコンクリートとしてアミノ酸の一種であるアルギニンを添加したコンクリートが開発されている.一方で,RC構造物の塩害対策として電気防食が適用される事例が増加しているものの,通電に伴い陽極被覆材が比較的早期に劣化する現象が指摘されている.そこで本研究では,塩基性の高いアルギニンを添加した陽極被覆材を用いた電気防食工法の陽極システム耐久性と防食効果について検討を行った. 実験手法としては塩分を初期添加した鉄筋コンクリートに,陽極システムを接着した供試体を作製し,一般的に防食レベルを想定した20mA/m2と,過防食レベルを想定した100mA/m2を電流密度として採用し,電気防食工法を適用した.また,陽極被覆材としては,セメントモルタル系またはPCM系の材料にアルギニンを添加したものを用いた.この結果,アルギニンを添加した場合でも,電気防食工法の陽極被覆材として実用可能な基礎物性を有するとともに,一般の電気防食で求められる防食基準である100mVの復極量を満足した. 陽極システムの耐久性に関しては,過防食通電である100mA/m2の電流密度で通電を行った場合に,陽極材周辺の陽極被覆材のpHが低下し,陽極被覆材とコンクリートとの接着強度が低下した.これに対して,陽極被覆材にアルギニンを添加した場合には,通電に伴う陽極被覆材のpH低下が抑制されるとともに,陽極被覆材とコンクリートとの接着性能低下程度が緩和される傾向を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋環境に配慮した電気防食工法を実現可能な,アミノ酸を添加した陽極被覆材について,種々の基礎物性を検討した結果,十分に実用可能であることが分かった. また,防食性能も実験室内では十分認められ,今後の実構造物への展開が期待できる結果が得られている.研究計画で示した項目は概ね予定通り達成できていることから,おおむね順調に進展している,と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向性として,実験室での通電処理に関しては,適用する電流密度を変化させて,通電量と陽極システムのpH低下程度および陽極システムの性能低下程度との関係性を定量的に明らかにしたい.これにより,陽極被覆材にアミノ酸を添加することによる,陽極システムとしての延命効果を定量的に示すことができると考えられる. 一方で,海洋環境への影響については,暴露実験用の供試体を作製し,流電陽極方式による通電を行いながら,海洋生物の付着状況の測定を実施したい.
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Research Products
(1 results)