2020 Fiscal Year Research-status Report
X線CT装置を用いた三次元土壌水分量計測手法の開発と応用
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19K04626
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
高野 保英 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80330231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麓 隆行 近畿大学, 理工学部, 教授 (30315981)
河井 克之 近畿大学, 理工学部, 教授 (30304132)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 土壌凍結 / ひずみ / 体積含水率 |
Outline of Annual Research Achievements |
豊浦珪砂の凍上による土壌移動量と体積含水率をX線CT装置により計測するため,土壌試料を底面および上面から冷却可能な装置を作成し,X線CT装置を用いて飽和した豊浦珪砂を底面から冷却し,土壌凍結が進行する過程でX線CT装置により土壌内部の撮影を行った.高さ95mm,内径65mmのアクリル製カラムに飽和した豊浦珪砂を詰め,冷却装置に設置し,装置ごとX線CT装置内に設置した.土壌試料は底面から-20℃で冷却する.カラム内には等間隔に5本の熱電対を設置し,各地点の温度が0℃になった時点で,土壌試料の透過画像を撮影し,その撮影画像を基にDVC解析により凍結に伴う土壌内部の移動量および体積ひずみを求めた. 土壌の凍結は確認できたが,実験期間内においては試料下部の3/4程度までしか凍結せず,土壌表面から25mm程度の付近で凍結による土壌の移動および大きなひずみの変化を確認できたが,凍結の進行に伴う土壌の変形の過程を計測するには至らなかった.この原因は土壌試料の断熱が不十分であったため,温度低下に時間がかかったこと,および表面から25mm以下の土壌は凍結したもののその上部の土壌の重量により凍結による変形が抑えられたことが考えられる.従って,引き続き試料の断熱を強化し,さらに土壌試料の高さを半分程度にすることにより,比較的短時間に凍結の進行に伴う変形過程の追跡が可能であることが買う人された. また土壌水分計測については,体積含水率とCT値頻度分布の最頻値,最頻値の頻度,および標準偏差の関係のみならず,土壌試料の輝度と体積含水率の関係も求め,それらの関係を用いて任意の体積含水率の土壌の水分をX線CT装置を用いて推定したが,含水率の大きさにより推定制度に違いがあることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は土壌凍結の進行に伴う土壌内の変形過程を追跡する予定であったが,装置の設計・実験方法の設定などに不備があったため,一部の土壌が凍結したのみで,過程の追跡には至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」でも述べたように,土壌冷却装置の断熱を強化し,さらに土壌試料の高さを半分程度にすることにより,凍結の進行に伴う変形過程の追跡を実施する.試料の高さは半分程度とし,昨年度と同様の実験を行い,撮影画像を基にDVC解析により凍結に伴う土壌内部の移動量および体積ひずみを求める.また土壌底面からの冷却だけなく,実際の土壌の凍結減少に近い状態を再現するため,土壌情報からの冷却による土壌の変形過程の追跡も試みる. 土壌水分計測については,これまでに得られた体積含水率とCT値頻度分布の最頻値,最頻値の頻度,標準偏差,および輝度の関係を用いて蒸発に伴う土壌水分の減少過程での透過画像撮影を行い,蒸発量と推定した体積含水率の関係などから,含水率変化の妥当性を検証する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,学会発表などの旅費の使用が無かったためである. 次年度は土壌冷却装置の断熱強化,土壌試料作製用カラムなどを当初予定していなかった物品を購入する予定である.
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