2023 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の道路事業における動物の事故対策とその効果の推計
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19K04671
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊東 英幸 日本大学, 理工学部, 教授 (70434115)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロードキル / 交通事故 / ヤンバルクイナ / アマミノクロウサギ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,沖縄県の県道2号線を対象としたヘッドライト点灯によるヤンバルクイナの飛び出し防止効果について検証を行うため,現地での道路周辺環境の調査に加え,県道2号線を毎朝走行したビデオ映像を基に解析を行った。その結果,ハロゲンおよびLEDのヘッドライトをハイビームで走行することで飛び出し防止効果があることを示した。 また,県道2号線の草の繁茂状況,法面環境,平面線形,側溝,道路構造,動物注意標識の有無,クイナフェンス・トンネルの有無,車線幅員,法面の角度を現地調査し,ポアソン回帰モデルによる事故発生要因の分析を行った。その結果,道路の側溝が無い場合に最も事故リスクが高く,法面の角度が急傾斜の場合に事故リスクが低くなり,動物注意標識の設置による事故防止効果が低い結果となった。 さらに,奄美大島ではアマミノクロウサギのロードキルが多発している網野子・湯湾・阿室釜・三太郎峠の4箇所を調査対象区間として現地調査を行い,道路構造,道路幅員,法面の種類,道路上に飛び出した植物の有無,動物注意標識の有無,道路の勾配,道路線形などを説明変数としてポアソン回帰モデルによるロードキル発生要因の分析を行った。その結果,動物注意標識の設置によるロードキル防止効果や,道路線形や縦断勾配の角度によって速度が変化し,事故リスクが道路区間によって異なることを示した。 研究期間全体を通じた成果として,本研究では特にエゾシカ,アマミノクロウサギ,ヤンバルクイナを対象としてロードキル発生要因の分析を行い,フェンスや動物注意標識などの事故対策による効果の検証を行ってきたが,道路環境,生物種の生態行動や躯体の大きさ,道路周辺の生息密度などによって分析結果は異なっており,個々の道路環境の特性に応じた柔軟な事故対策が必要であることが示された。
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Research Products
(4 results)