2020 Fiscal Year Research-status Report
建築部材の無機ー有機界面への革新的評価技術を用いた高耐久施工法提案システムの実現
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19K04704
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北垣 亮馬 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20456148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 英昭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (40357760)
佐藤 浩昭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (70357143) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無機ー有機界面 / 溶剤膨潤法 / IRスペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、無機ー有機界面の特性を表す試験体を用いることで、具体的に、どのような化学結合が変化したのかという劣化機構を素反応ベースで追うことができるようになった。これによって、建設系分野において、頻繁に用いられている無機ー有機界面接着機構において、特に付着の長期性能として、十分耐久性が高いもの、当初の設計程度の耐久性のもの、当初の設計を下回る耐久性のもの、かなり下回る耐久性のもの、といったグレーディングの考え方が、IRスペクトルにおける接着系高分子の架橋部分のピークの減少という、比較的、わかりやすいデータの解釈によって得られることが明らかになった。 また、グレーディングが低い無機ー有機界面については、今後、事故や災害、耐久性の低下にともなう構造物への影響などを考慮して慎重にメカニズムを追求する研究を進めていく。 さらに、無機ー有機界面の変化を評価する手法として、古典的な高分子のゲル構造の評価に用いられる膨潤度試験を実施することによって、化学結合の変化だけではなく、密度や空隙変化に関する微細な情報を取得することにも成功した。 このように、予定以上の成果を得られることができたため、2020年度は、国際ジャーナルの査読論文2報、および当該分野での国際会議発表1報、国内査読付き論文1報、国内会議発表3報、ができ、当初の計画以上の結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、本研究に関して国際ジャーナルの査読論文2報、および当該分野での国際会議発表2報、国内査読付き論文1報、国内会議発表3報、ができ、当初の計画以上の結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は最終年度として、評価した方法を用いた結果により、建設系高分子による無機ー有機界面のうち、付着性能が低いグレーディングの構成には、未反応な高分子成分が架橋反応を進めることで硬化していく一方で、その架橋部分が高アルカリな液性や無機材料の酸化力によって加水分解や酸化され、切断されてしまうことで急速に崩壊しやすい性質を有してしまうことが明らかになってきた。このような傾向をもつ当該接着剤は、こうした崩壊を防ぐために、硬化剤をあえて大量含有している傾向にあり、「すぐに無機―有機界面が接着し、工事当初は所定の付着強度が得られるものの、急速に硬くもろく変成してしまう」という傾向を有していることが明らかとなった。この問題を解決するためには、接着材に、接着用高分子だけでなく、基材とほぼ同等の資材を含有することで、高分子が急速に所定の付着強度に達し分解する過程と同時並行で、無機ー有機界面を基材類似成分が体積充填することで、密度低下を防ぎ安定性を保つという革新的接着機構を考案している。今年度はその評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナによって予定した高分子劣化用の装置が海外から入らなくなり、納期が翌年度に持ち越されたため。
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Research Products
(7 results)