2019 Fiscal Year Research-status Report
縮小均衡状態の打開から始まる多様な自治システムの導入プロセスの構築
Project/Area Number |
19K04769
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田口 太郎 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (20367139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 関係人口 / ネットワーク型自治 / 縮小均衡 / プロセスデザイン / 連続ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
人口減少が進む中、交通インフラや通信インフラが発達した社会では地域づくりを地域住民に限らず、地域内外の連携を前提とした「ネットワーク型自治」が有効であることは先の科学研究費プロジェクト(基盤研究(C),16K06645,代表:田口太郎)で明らかにした。一方で、各地域が地域の将来課題を現実的に理解し、将来状況を前提とした取り組みを企画、実行する機会がないことが課題として挙げられた。 一方で、近年「関係人口」に注目が集まり、移住受け入れの限界状態から次なる勧誘対象として「移住未満、観光以上」の「関係人口」を取り入れる取り組みが各地で精力的に進められるようになっているが、多くの地域で都市部からくる「関係人口」との戦略的な関係づくりに至っていない現実がある。これは地域づくりの担い手である住民自身が「なぜ外部人材との交流を図るのか」を的確に理解していないためであり、施策実施者である行政自身も外部人材に何を期待しているのかが十分に理解できぬまま施策を進めている現実がある。 現在なお、地域社会で大きな戦力となっている世代が団塊世代であるが、団塊世代が75歳を超え始める2022年以降、地域社会の体力は劇的に低下することが予想され、縮小均衡の打開から始めるプロセスデザインの重要性が極めて高い。 そこで、本研究課題では多くの地域で起こっている「縮小均衡」状態を打開するところから地域づくりのプロセスデザインを図ろうとするものであり、その手法として「先よみワークショップ」を開発し、その実証研究を進めている。その中で、連続ワークショップの実施間隔をこれ迄の一般的な連続ワークショップの実施間隔である数ヶ月間隔から3週間間隔に狭めることで主体者である地域住民の理解促進につながることがわかった。また、集落点検から活動の企画までを短期連続ワークショップという手法を用いて検討することで実質的なアクションにつながることも伺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
縮小均衡の打開から具体的な地域づくりの企画・実行に至るプロセスをデザインする「先よみワークショップ」の実証的研究を進めており、短期間で実施を進めるための取りまとめ方法の効率化などを進めた。一方で実施体制が弱いことから実証研究の実施地域が限られてしまっている現実があった。 しかし、連続ワークショップの実施地域ではそれぞれの地域で具体的な取り組みがスタートしており、実証性の上では一定の成果を上げている。また、連続ワークショップの実施時点で既に過疎・高齢化が進みすぎたことによる活動意欲が低下している地域では活動が生まれているものの持続性確保には至っておらず、こうした超高齢化集落における自治機能の持続性については課題があることがわかった。 そのため、2020年度以降は実証地域を増やすとともに、スタートした活動のフォローアップ手法についても実証性を高める研究を進めたい
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Strategy for Future Research Activity |
人的資源が少なかったため、今後は研究支援人権費を計上し、研究進捗の推進を図る。 ただ、新型コロナウィルスによる活動自粛が続いている状況で、高齢化の進んだ地域での外部人材の投入や、調査・実践活動の限界があることから、これらの終息を見計らって早急に研究活動を再開する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の研究プロジェクトが押してしまい、十分に研究に従事できなかった。 2020年度以降は研究支援の人件費を計上し、研究の推進を図る
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Research Products
(4 results)