2019 Fiscal Year Research-status Report
超高強度空中超音波フェイズドアレイ波源走査法による高速広範囲計測への挑戦
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19K04931
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大隅 歩 日本大学, 理工学部, 助教 (40579413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空中超音波 / フェイズドアレイ / 非破壊検査 / 波源走査法 / 非線形音響 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度における研究実績の概要は、以下の通りである。 1)空中超音波フェイズドアレイ(Aerial Ultrasonic Phase Array:AUPA)の駆動アルゴリズムの開発:AUPAを駆動するための駆動アルゴリズムを開発した。数100個の超音波センサで構成されるAUPAは,対応する数100chに対して、独立した制御信号を送り込む必要がある。そのため、FPGA搭載ボードを購入し、駆動アルゴリズムを開発できる環境構築を行った。続いて、構築した開発環境を用いて、任意の位置に強力な超音波をAUPAから照射できる駆動アルゴリズムを構築した。ここで、非破壊検査に利用するためにはパルスで放射する必要があるため、数100chの制御信号がパルス状に放射できる独自のアルゴリズムを組み込んで構築した。また、超音波センサの開口径に合わせて補正を加え、任意の超音波センサ径にも対応できるよう構築した。 2)100chのAUPAの試作:開発した駆動アルゴリズムのAUPAでの実証試験を行うために、100chのAUPAを試作した。このAUPAは、超音波センサ100個を正方形状に配置した構成(10ch×10ch)になっており、独立した制御信号を送り込める構造である。また、制御信号はセンサの手前に増幅器を配置した構造とした。 3)AUPAの駆動試験:開発した駆動アルゴリズムを用いてAUPAの駆動試験を行った。主に以下の項目で行った。①任意の位置における音波集束の確認②任意の位置における高音圧の確認である。①の検証を行ったところ、問題なく所望の位置に音波が集束されることを確認した。また、その走査速度も約1ms程度と高速であった。続いて、②の検証を行ったところ、AUPAの中心軸上では高音圧の音波放射特性が得られた。また、中心軸から外れた位置においても中心軸上音圧の約70%程度の音圧を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)空中超音波フェイズドアレイ(Aerial Ultrasonic Phase Array:AUPA)の駆動アルゴリズムの開発:当初の予定通り、FPGAボードを利用してAUPAの駆動アルゴリズムの開発を実現できた。AUPAは数100個の超音波センサで構成することを見越し、数100chの信号線に対しても、独立した制御信号を送り込めるように駆動アルゴリズムを実現できた。また、任意の位置に強力な超音波を照射できることに加えて、非破壊検査に利用するために超音波をパルスで放射できるように組み込んで構築した。また、超音波センサの開口径に合わせて補正を加えたアルゴリズムとし、任意の超音波センサにも対応できるよう構築した。 2)100chのAUPAの試作:開発した駆動アルゴリズムのAUPAでの実証試験を行うために、100chのAUPAを試作した。試作したAUPAは、超音波センサ100個を正方形状に配置した構成(10ch×10ch)とし、制御を行う必要がある。そのため、各々に独立した制御信号を送り込める構造で作成した。加えて、強力な音波を放射するために、センサの手前に100ch分の増幅回路を配置した構造とした。 3)AUPAの駆動試験:開発した駆動アルゴリズムを用いてAUPAの駆動試験を行った。試験を行う上で、集束位置はAUPAから200mmの位置に設定し検証を行った。主に以下の項目で行った。①任意の位置における音波集束の確認②任意の位置における高音圧の確認である。①の検証を行ったところ、問題なく所望の位置に音波が集束されることを確認した。また、その走査速度も約1ms程度と高速であった。続いて、②の検証を行ったところ、AUPAの中心軸上では約4000Paの高音圧の音波放射特性が得られた。また、中心軸から大きく外れた位置においても中心軸上音圧の約70%程度の音圧を得ることができることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年に実施したAUPAの駆動アルゴリズムの実証試験の成果を踏まえて、以下のように令和2年度は推進する。 1)映像化アルゴリズムの開発:昨年開発が完了したAUPA駆動アルゴリズムと試作したAUPAを用いて,非破壊検査を行い、欠陥を映像化するまでのリアルタイムでの映像化アルゴリズムを開発する。具体的には、映像化アルゴリズムは以下のような手順で実装する。まず、AUPAからの音波放射により対象に励起した各波源からのガイド波を受信器(圧電素子やレーザドップラ振動計などの振動計測器)で受信する。各位置で計測したガイド波のデータをデータロガーの受信部に送る。次に、受信部からのデータをデータ格納部にて各波源の位置に対応した二次元座標に照射時間を基準として同期させて格納する。計測領域の計測終了後、映像部にてガイド波伝搬画像を連続表示することで、ガイド波が欠陥で散乱する現象が映像化される。これらを一連の流れとして、リアルタイムで映像を更新し続けることでオンライン計測となる。以上の原理を元に映像化アルゴリズムを構築する。 2)リアルタイム計測のための実験システムの構築:上記で構築した映像化アルゴリズムを実装する実験系システムを構築し、そのアルゴリズムを検証する。具体的には、使用する計測器やAUPAならびに周辺機器をすべてプログラムでシステム化し、上記のアルゴリズムをPC上で実装する。映像化アルゴリズムを実装した実験システムで、リアルタイム計測の検証を行う。 3)超高強度AUPAの開発および実証試験:昨年度開発したAUPAは100個の空中超音波振動子で構成されていたが、比較的高音圧の超音波が放射できていた。そこで、強力音波の非線形性をより有効に利用するため、数100個の空中超音波振動子で構成されたAUPAを開発し、その音波放射特性を検証する。
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Causes of Carryover |
平成31年度は申請した費用に一部計画変更が生じ、残額が生じた。主な理由は、AUPAの開発費用が当初の計画よりも抑えて設計試作が出来た為である。これらの費用は、令和2年度に開発する数100chで構成された更なる強力音波が放射できるAUPAの開発費用に充足する際の回路設計ならびにより多チャンネルの制御が可能な高性能FPGAボード及び周辺機器の費用に充てる予定である。
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Research Products
(15 results)