2019 Fiscal Year Research-status Report
オリゴ糖鎖担持高分子の保護基フリー水中合成を基盤とするグライコクラスターの創製
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19K05580
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 知成 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 准教授 (70585695)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水溶性活性エステル / RAFT重合 / 糖鎖高分子 / オリゴ糖鎖 / 水中 / 保護基フリー / レクチン / インフルエンザウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
水中での糖鎖高分子合成法の開発を目的として、水溶性活性エステル基を側鎖に有する新規な高分子を設計・合成した。具体的には、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム(sulfoNHS)と 6-アクリルアミドヘキサン酸を原料に、脱水縮合剤N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて、sulfoNHSを有する新規な水溶性活性エステル担持モノマーを合成した。既往のsulfoNHS担持モノマーは水中での半減期が60分以下と不安定であるのに対して、本研究で合成したsulfoNHS担持モノマーは、水中での半減期が16時間と安定性が大きく向上したことを確認した。 続いて、合成したsulfoNHS担持モノマーのRAFT重合によって、重合度が制御された分子量分布の比較的狭いsulfoNHS担持ポリマーが得られた。合成したsulfoNHS担持ポリマーとp-アミノフェニルガラクトピラノシド(pAP-Gal)またはシアル酸含有複合型オリゴ糖ペプチド(SGP)のアミノ基を水中で反応することにより、ポリマー側鎖に糖分子を付加することができ、水中での糖鎖高分子合成を達成した。 合成したpAP-Gal担持糖鎖高分子と蛍光標識ピーナッツレクチンとの結合を蛍光強度の減少により評価したところ、高い結合定数(Ka)を示した。また、SGP担持糖鎖高分子を金基板上に固定化し、水晶発振子マイクロバランスによってニホンニワトコレクチンおよびヒトインフルエンザA型ウイルスの糖結合性タンパク質であるヘマグルチニンとの結合を測定したところ、共に高い結合定数を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水溶性活性エステルを有する新規なモノマーおよびポリマーを合成することに成功した。さらに、合成した水溶性活性エステル担持ポリマーを用いた水中での糖鎖高分子にも成功し、レクチンなどの糖結合性タンパク質との結合を確認できた。以上より、今年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したsulfoNHS担持ポリマーを用いたさらなる応用展開を行う。また、異なる種類の水溶性活性エステルを用いて、モノマーおよびポリマーを設計・合成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により学会等が開催中止となったため、次年度以降に使用する。
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Research Products
(8 results)