2021 Fiscal Year Research-status Report
粗視化フラワーミセルモデルを用いた会合性高分子の構造形成とレオロジー
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19K05615
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古賀 毅 京都大学, 工学研究科, 教授 (80303866)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 会合性高分子 / フラワーミセル / レオロジー / シミュレーション / ゾル・ゲル転移 / 粗視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,これまで申請者が行ってきた会合性高分子の形成する物理ゲルの構造形成と粘弾性的性質に関する理論研究を拡張して新たな粗視化モデルを構築し,テレケリック会合性高分子水溶液が示す構造形成とレオロジー的性質,特にこれまで未解明であった濃度依存性の分子機構を解明することである.具体的には,会合性高分子が形成するフラワーミセルを単位として系を記述し,そのミセル間でブリッジ鎖・ループ鎖間の遷移が起こるとする「粗視化フラワーミセルモデル」を構築し,このモデルを用いた計算機シミュレーションにより,濃度変化によって引き起こされるゲル化やミセルの充填などの構造変化とレオロジー的性質の間の関係を解明する. 前年度までに,組み替え網目理論」の拡張による粗視化ミセルモデルの基礎方程式の導出と星型高分子の粗視化分子動力学シミュレーションによるミセル間相互作用の検討結果に基づいて,粗視化ミセルモデルを構築し,シミュレーションを実行可能な形で実装した.2021年度は,これに基づいて,高分子濃度を変化させた大規模な計算機シミュレーションを実行し,高分子濃度の変化によって引き起こされるゲル化に関して詳細な解析を行った.また,高分子の重合度の多分散性がゲル化機構に及ぼす影響についても計算し,実験結果との比較を行った.更に,ミセルが空間的に充填する高濃度領域まで計算を実行し,充填構造がレオロジー的性質に及ぼす影響について研究した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画通りに,粗視化ミセルモデルの構築を行い,このモデルを用いたシミュレーションを実行した.これにより,濃度変化によって引き起こされるゲル化とミセルの充填などの構造変化とレオロジー的性質の間の関係に関する研究を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,新型コロナウイルス感染拡大の影響により発注を見合わせていた計算機を購入し,これを用いて粗視化ミセルモデルを用いたシミュレーションを実行し,ミセルの相分離,結晶化の研究を行う予定である.また,これまで得られた研究成果をまとめて論文発表を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,計画していた出張ができなくり,また発注予定であった計算機の納期が不確実になったことから発注を見合わせたので,次年度使用額が生じた. 発注を見合わせていた物品については順次購入し,翌年度分として請求した助成金は計画通りに使用する予定である.
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Research Products
(10 results)