2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of sub-nanoporous boron nitride and its development as adsorbents and catalysts
Project/Area Number |
19K05650
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大久保 貴広 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (30385554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 窒化ホウ素 / ガス吸着 / ナノ細孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では炭素材料と等電子の関係にある窒化ホウ素(BN)を壁材とした細孔性材料(p-BN)の創出と触媒への展開を指向した研究を行った。昨年度までの2年間で、鋳型を用いずに適切な前駆体と焼成によりミクロ孔とメソ孔とから構成されるp-BNが得られること、また、得られたp-BNは炭素材料よりも窒素分子に対する相互作用が強いことを示す実験結果を得ることに成功した。軽元素から構成される細孔体で窒素分子と強く相互作用する例はこれまでになく、表面化学種や細孔構造を制御することで新たな吸着材料および触媒担体として利用できる可能性が開かれた。 一方、p-BNの利用展開を図るためには細孔構造の制御手法を確立する必要がある。本研究の最終年度ではp-BNに細孔が付与される過程を綿密に調査し、得られた知見から細孔構造制御の可能性について検討した。 p-BNの前駆体としてホウ酸と尿素を用いた場合、不活性条件において700℃超の温度で前駆体に帰属できる化学種が検出限界以下となること、および不活性条件として用いるガス種が得られる細孔構造に大きく影響することを突き止めた。例えば、過去2年間の研究で用いてきた窒素をアルゴンに変更した場合には、得られるp-BNの構造に大きな差が見られなかった一方で、二酸化炭素を用いると比表面積が著しく低下した。この結果から、700℃までで生成したBNの微結晶が二酸化炭素と反応することで細孔の発達が阻害されていると考えられる。また、ヘリウムを用いた場合には最も比表面積の大きなp-BNが得られることも明らかとなった。ヘリウムは用いたガス種の中で最も熱伝導率が高いため、p-BN中の細孔の成長が促進されたと考えられ、鋳型を用いることなく雰囲気制御のみで簡便に細孔構造を制御できる可能性に見通しをつけることができた。
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