2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanism for cytochrome c dessociation based on fine synthesis of phospholipid cardiolipin peroxide
Project/Area Number |
19K05847
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安部 真人 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (30543425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河崎 悠也 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (00781999)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | カルジオリピン / 過酸化物 / シトクロムc / リン脂質 / アポトーシス / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、カルジオリピン過酸化物の全合成における重要中間体一級水酸基を保護したモノアシルグリセロールの効率的合成方法を確立した.すなわち、マンニトールからS体の,アスコルビン酸から,R体のソルケタールを合成した後,得られたソルケタールをモノアシルグリセロールへと誘導する経路である.これらの成果は,本研究の主目的の一つである「カルジオリピン過酸化物及びそれらの二次参加生成物の網羅的合成」の基盤技術となりうる. 高度不飽和脂肪酸の過酸化反応による過酸化脂肪酸の合成にも着手した.まず,リノール酸の空気酸化による過酸化脂肪酸の合成を試みたが,望ましい収率で目的物を得ることはできなかった.そこで次に,ペルオキシダーゼを添加して過酸化反応を行う手法,基質をジアシルグリセロールやリン脂質に誘導してから過酸化反応を行う手法について検討した.その結果,副生成物が生じる問題はあるものの,一定の収率で目的とする過酸化脂質を得ることに成功した.しかし、過酸化脂質のヒドロペルオキシ基の分子内転位が徐々に進行することが明らかになった.この問題を回避するために,ヒドロペルオキシ基を2-methoxy propene (Mxp)基で保護した後に精製する手法を検討中である. 研究分担者の河崎は,シリルアルケンの付加型オゾン酸化の反応機構解明に関する論文を発表した.この知見に基づき,過酸化脂肪酸の合成を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的の一つである「カルジオリピン過酸化物及びそれらの二次参加生成物の網羅的合成」の重要中間体の効率的合成法を確立できた.R体,S体ともに入手容易なキラルプール(マンニトール,アスコルビン酸)から立体選択的で簡便な合成方法を確立できたことは当初計画以上の効率化が実現したと言える。 一方、脂肪酸部の過酸化反応による過酸化脂肪酸の合成に関しては,空気酸化の成果が思わしくなく、酵素法もしくは基質の変更が必要であった。当初計画からこれらの手法を考慮に入れていたために、計画に遅れが生じてはおらず,テストスケールではあるが良好な成果が得られている。 研究分担者の河崎は、シリルアルケンの付加型オゾン酸化について、そのメカニズムについて論文発表を行うなど、本研究の達成に向けて重要な成果をもたらした。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、カルジオリピン過酸化物の全合成の達成を目指す。 本年度合成に成功した鍵中間体に対して、酵素反応等で合成した過酸化脂質を導入することで天然型のカルジオリピン過酸化物を全合成する。同様の方法で、カルジオリピン過酸化物の網羅的な類縁体合成を行い、二年次の研究計画を達成目指す. また、脂肪酸部の二次酸化生成物に関しても化学合成を実施して高純度品を得る予定である。 以上のように、カルジオリピン過酸化物およびそれらの二次酸化生成物の全合成を行い、それを用いてリポソーム系におけるシトクロムcとの相互作用解析を実現する。
|
Causes of Carryover |
当初計画に比べて、カルジオリピン過酸化物の全合成を効率的に進めることができた。各反応段階の最適化が計画以上に進んだこと、重要中間体の効率的合成を達成できたこと,がその要因である.本結果は,合成原料費の大幅な削減にも繋がった。 また、化合物精製においては学内共通機器の活用が有効であった.これによる経費削減も実現した。 以上により、化学合成に関連する費用を効率化することができたために次年度使用額が生じた。 これらの分は、次年度における諸反応の開発費や、シトクロムc-カルジオリピン過酸化物の相互作用解析をより多面的に実施するために使用する
|
Research Products
(11 results)