2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K05919
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森山 達哉 近畿大学, 農学部, 教授 (60239704)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経皮感作 / 食物アレルギー / アレルゲン / 食品タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、食物アレルギーは、食物抗原が経皮感作してIgE抗体を産生し、感作されることが明らかにされてきた。本研究では、マウスモデル系を用いて経皮感作しうる食品タンパク質について、その同定を行うことにより、経皮感作されやすいタンパク質の特性について検討するとともに、経皮感作に影響しうる要因を解明し、経皮感作を抑制しうる食品・栄養因子を明らかにすることを目的としている。また、このような食品中のアレルゲンについて、そのリスク変動要因の解明についても検討する。今年度は、チェリーにおける経皮感作抗原としてソーマチンライクプロテイン(Pru av2)を同定し、論文発表を行った (Foods 2021, 10, 134.)。この分子はヒトにおけるチェリーの主要アレルゲンとしても知られているため、本モデル系がヒトにおける経皮感作抗原の探索にも有効であることが示唆された。さらに、キウイをマウスに塗布した際の経皮感作抗原の同定にも成功し、論文を投稿中である。また、米ぬかの経皮感作抗原の精製にも成功し、現在その分子の同定を進めている。ソバやゴマに関しても経皮感作抗原の同定を進め、ソバに関しては論文として投稿中である。 経皮感作に影響を与える因子の検討についても、抗原濃度、共存する界面活性剤の濃度、皮膚バリアの破壊度合い、共存する食品由来成分などによって影響を受けることを明らかにしたが、その他、栄養条件による感作能の違いやマウスの系統による感作能の違いなども明らかにしつつある。とくに栄養条件に関しては、高脂肪食の効果を検討しており、現在その解析を進めている。さらに、経皮感作に影響を及ぼす皮膚バリア関連タンパク質について、その分解をモニターしうる実験系を構築し、いくつかの食品成分がこれらの皮膚バリアタンパク質を分解しうることを見いだし、論文として取りまとめ中である。このように、研究は順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果や研究の成果発表について、ほぼ想定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果に関して、3つほどの論文化が可能であるため、論文化を急ぐ。また、現在同定中の新たな経皮感作抗原が2つあるため、これらの同定を進め、経皮感作されやすいタンパク質の特徴の解析に対する共通点の解析を行う。食品成分や栄養状態が経皮感作に及ぼす影響についても、解析中の事項を整理し、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
感染症拡大のため、購入予定の試薬が入手できず、予算が若干執行できなかった。次年度に購入し、執行予定である。
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Research Products
(16 results)