2020 Fiscal Year Research-status Report
Postgenomic study on postharvest physiology of carnation opened up by ethylene response factors
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19K06034
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原田 太郎 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (80468256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エチレン依存性花弁老化 / エチレン応答因子 / MA包装 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーネーションのエチレン依存性花弁老化および低酸素による咲き進みまたは老化の抑制(品質保持)へのエチレン応答因子(ERF)の関与を明らかにするため,カーネーションのERF遺伝子ファミリーの解析およびMA包装条件の検討を進めた. 第一に,ERF遺伝子のcDNA部分配列のクローニングを行った.これまでに,ゲノムデータベース上で同定された32遺伝子のうち,31遺伝子のクローニングを終了した.また,発現解析データの再現性確認のため,異なる品種由来の老化過程およびエチレン処理後の新たな花弁サンプルを得た. 第二に,DcERF4のプロモーター機能解析のため,DcERF4のプロモーター領域およびDcEIL3のクローニングおよび一過的発現解析系の準備を進めた.DNAシーケンシングにより,コンストラクト作製に用いることのできる断片が得られたことを確認した.また,比較対照として,エチレン応答性ACC合成酵素遺伝子(DcACS1)およびACC酸化酵素遺伝子(DcACO1)のプロモーター領域のクローニングも進めている.また,一過的発現解析用のシロイヌナズナプロトプラストの調製を試み,標準プロトコルに従い,Col-0系統の葉から高品質のプロトプラストが得られることを確認した. 第三に,MA包装条件の検討および低酸素応答性遺伝子の同定および発現解析を行った.カーネーション切り花をMA包装下で7日間保管した場合,花弁のアデニル酸エネルギーチャージが維持されること,市販の水揚げ促進剤により開封後の花持ち性が向上することが判明した.また,他の植物で低酸素条件下での恒常性維持への関与が示唆されているフィトグロビン遺伝子(DcPGB1)を単離し,その発現レベルがMA包装下の花弁で顕著に上昇することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたカーネーションERFファミリーの遺伝子発現解析,DcERF4のタンパク質発現解析およびプロモーター機能解析については,研究協力者の大学院生が研究チームから外れたため,データ取得に至っていないが,発現解析のためのサンプル調製,コンストラクト作製および一過的発現解析系の構築は鋭意進めている.一方,切り花のMA包装実験系の再現性,エネルギー状態および開封後の花持ち性を確認するとともに,カーネーションの新たな低酸素応答遺伝子としてDcPGB1を同定したことにより,来年度のトランスクリプトーム解析の準備を整えることができた.なお,トランスクリプトーム解析用のサンプルは既に採取し終えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ERFファミリーの遺伝子発現解析およびDcERF4のタンパク質発現解析については,これまでに採取した花弁サンプルを用いて年内の定量的データの取得を目指す.DcERF4のプロモーター機能解析については,早急にコンストラクトを作製し,今年度購入したルミノメーターを用いてレポーターアッセイを行う.並行して,当初の計画通りトランスクリプトーム解析を行い,エチレン依存性花弁老化および低酸素応答に関連した遺伝子発現のプロファイリングを行う.
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