2021 Fiscal Year Annual Research Report
Postgenomic study on postharvest physiology of carnation opened up by ethylene response factors
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19K06034
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原田 太郎 岡山大学, 教育学域, 講師 (80468256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エチレン依存性花弁老化 / エチレン応答因子 / MAP / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
カーネーションのエチレン依存性花弁老化および低酸素応答におけるエチレン応答因子(ERF)の関与を解明するため,主要ERF遺伝子であるDcERF4の解析およびRNAシーケンシング(RNA-Seq)による差次的発現遺伝子の網羅的解析を実施した. 第一に,ルシフェラーゼアッセイによるDcERF4のプロモーター機能の解析を行ったところ,DcERF4のプロモーターに存在するエチレン応答性シスエレメント(ERE)にDcEIL1またはDcEIL3が結合し,DcERF4の転写を促進しているという仮説を支持する結果は得られなかった. 第二に,ウエスタンブロットによるDcERF4のタンパク質発現解析を行ったところ,エチレン処理した花弁および老化過程の花弁におけるDcERF4タンパク質レベルの変化は観察されなかった. 第三に,低酸素処理またはMA包装(MAP)を施した花弁,エチレン処理後または老化ステージの花弁を用いてRNA-Seqを行ったところ,145,279種類の高発現転写産物が得られた.得られた配列データを基に差次的発現遺伝子解析を行った結果,(1)既知の低酸素応答遺伝子が低酸素処理群またはMAP群で,既知のエチレンまたは老化関連遺伝子がエチレン処理群または老化群で発現上昇すること,(2)各条件下で複数のERF遺伝子が発現変動し,そのうちDcERF26はエチレン処理による発現上昇が最も顕著であること,(3)各条件下で既知の花弁成長関連遺伝子が発現変動すること,(4)MAP群でもエチレン関連遺伝子が発現上昇することなどが明らかとなった. 以上の結果から,DcERF4の他にも複数のDcERFメンバーがカーネーションのエチレン依存性花弁老化過程に関与している可能性があること,カーネーションのMAPが花における低酸素応答とエチレン応答とのクロストークを調べる上で有用な実験系となることが示唆された.
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