2020 Fiscal Year Research-status Report
チョウ目幼虫のもつ突出した頭部突起が果たす役割の解明
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19K06079
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
香取 郁夫 近畿大学, 農学部, 准教授 (00319659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土原 和子 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (10300823)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アサギマダラ / 頭部突起 / 食草探索仮説 / アオジャコウアゲハ / 食草発見率 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において、アオジャコウアゲハ幼虫では頭部にもつ柔らかい突起を食草探索に利用するという「食草探索」仮説が実証された(Kandori et al., 2015)。今年度は、同じように頭部に柔らかい突起を持つアサギマダラの幼虫にも食草探索仮説が当てはまるかを調べる検証実験を行った。全ての幼虫の視覚を奪い、突起を使用可能な通常の幼虫と突起使用不可にした幼虫の2グループの幼虫を用いて食草探索実験を行った。その結果、突起を使用可能な通常の幼虫は突起使用不可にした幼虫に比べ食草発見率が有意に高かった。この結果は食草探索仮説を支持していた。しかし、本実験でのサンプル数は少なかったため、今後追加実験をしてサンプル数を増やすことが必要である。 また、先行研究では、ゴマダラチョウ幼虫がもつ硬い頭部突起が天敵であるセグロアシナガバチからの防衛に役立つとする「天敵防衛」仮説が実証された。今年度は同じように頭部に硬い突起を持つフタオチョウの幼虫においても天敵防衛仮説が当てはまるかどうかを調べる検証実験を行った。実験1では、野外天敵調査として、鹿児島県奄美大島にて食草のヤエヤマネコノチチに定着させた幼虫を定点ビデオカメラで撮影した。しかし、天敵の発見には至らなかった。実験2では、4齢突起有り、5齢突起有り、5齢突起無しの3処理区の幼虫と天敵セグロアシナガバチを使って野外網室にて捕食実験を行った。その結果、アシナガバチの攻撃に対して突起を使って防衛する様子を観察することができたが、3処理区の幼虫の防衛率に有意差は無かった。こちらも今後追加実験をしてサンプル数を増やすことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験用の昆虫を概ね十分数確保できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
・今回のアサギマダラ幼虫を用いた「食草探索」仮説の検証実験についてサンプル数をさらに増やす。 ・ゴマダラチョウ幼虫では「天敵防衛」仮説を実証できたが、「カモフラージュ」仮説について新たに検討する。 ・フタオチョウ幼虫を用いて、ゴマダラチョウ幼虫同様に「天敵防衛」仮説を再度検証する。
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Causes of Carryover |
実験昆虫飼育のための食草栽培や畑の管理に必要な培養土の購入などが当初の想定より少なく済んだため。 実験や調査の補助、実験データの解析を行うためのアルバイト代、分担研究者との打ち合わせや情報交換のための旅費を十分に盛り込み研究活動を活発化する。
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